東北ビジネス最前線

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経済のグローバル化や温暖化による地球規模の環境変化によって世界経済は先の見えない混迷の時代を迎えています。そしてその影響は、私達の住む東北地方にも大きな影響を与えています。
一方、最先端技術を持つ大企業の進出や、大型ショッピングモールの出店ラッシュ…。
東北は今、大きなチャンスと転換期を迎えようとしています。
『東北のいまを見つめ、考え、将来に生かせる提案を試みる。』
これからの東北をみんなで考える新しい経済番組です。



次回の放送
三神万里子
2014年2月1日(土)
午前9時30分〜午前10時15分


『想定外』と言わせない!企業のリスク管理を考える(仮)

 東日本大震災からまもなく3年を迎えます。東日本大震災の直接経済被害額は16.9兆円と膨大なものでした。
 これに対し、東日本大震災での損害保険支払額は、「家庭向け地震保険」が1.2兆円、建物共済などの「共済保険」が1.1兆円、「企業向け地震保険」が0.6兆円で、生命保険(0.2兆円)を除く総支払額は約2.9兆円とみられています。これは、住宅、店舗、工場を含めた「建築物等被害額」10.4兆円の27.9%に過ぎず、保険では十分に賄えなかったことが分かります。
 この要因は幾つかあります。「家庭向け地震保険」の加入は、1契約当たり、「火災保険」契約金額の30%〜50%で、建物5,000万円、家財1,000万円が上限ですので、「火災保険」の半分までしか保険がかけられません。「家庭向け地震保険」は、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、政府が支払いを保証・『再保険』することで成り立っている保険制度です。保険者から徴収した正味保険料の全額を、再保険の仕組みを利用し積み立てているものです。この制度では、1回の地震に対する総支払い限度額は6兆2000億円と決められています。一方「企業向け地震保険」については金額が膨大であり、国の財政、民間企業に対する公平性の問題などから政府の保証はありません。保険会社が経営の健全性などから、企業が望む保険金額を十分に引き受けられない事情もあります。企業の側も、「いつ地震が起こるか分からない地震に、高い保険料を支払う余裕がない。保険料の支払いが収益を圧迫させる」などの理由で、地震保険への加入をためらうケースも多くあります。「企業向け地震保険」の加入率は30%程度、事業が出来ない間の利益を保証してくれる『利益地震保険』の加入率は、更に少なく、「企業向け地震保険」加入企業の20%程度に留まると見られています。
 日本は地震を始めとした災害大国です。今も「首都直下型地震」、「南海トラフ地震」など多くの地震の発生が予測されています。中央防災会議の被害予測では、「首都直下型地震」の経済被害総額は95.3兆円。日本の来年度の国家予算約96兆円とほぼ同額です。日本の財政赤字はすでに1000兆円を超えており、次に大災害が発生しても、巨額の財政支出を伴う支援は期待できない状況にあります。東日本大震災は、津波の恐ろしさと被害の大きさをまざまざと見せ付けました。この災害を受け、大規模防潮堤の建設、国土強靭化など災害への備えは始まりつつあります。しかし、その対策は、災害から命を守る手段などに限られており、私たちの生活に直結する仕事、会社・企業を含めた『経済の強靭化』については十分な対策が講じられているとは言えません。
 『リスク管理』とは、自分たちにとって何が大事か、何を失ってはいけないのかの価値判断と共に、それを失う可能性についても考え、大切なものを失わないためにはどうすべきか、事前の備えを行うものです。
 一般の家庭では、病気や事故、災害に備え、『防災用品』の準備、『不慮の出費に備えた貯金』を始め、『健康保険』『雇用保険』『生命保険』『火災保険』『自動車保険』などの保険を含め、様々なリスクへの備えをしています。
 これに対し、日本企業の災害に対する備えは、十分とはいえません。
日本の保険会社は、イギリスの『ロイズ市場』を始めとした再保険会社に、保険料を払いリスクを分散していますが、日本には、規制や税制上の問題もあり、ロイズ市場のようにリスクを引き受けてくれる大きな『再保険市場』はありません。
 今一般的に考えられている企業の危機管理については、『企業向け地震保険』『利益地震保険』のほかにも幾つかあります。
 『ERM・企業統合リスク・マネジメント』。『BCP・企業継続計画』この計画の『有り無し』で、銀行からの融資条件が変わる程、重要なものになっています。そして、『リスク・ファイナンス』も一つの手段と考えられています。これらを、上手に組み合わせ、それぞれの企業に合った最善のリスク対策を講じることが求められています。
 東日本大震災から学んだことは、日本の産業・経済が災害に対してあまりに無防備であることです。いつ再び起こるかもしれない大災害で日本経済が壊滅的打撃を受けないように備えるにはどうすべきか。企業のリスク管理の現状と課題を明らかにし、大災害を経験した被災地東北だから提案できる「社員や株主、顧客などのステークホルダー・利害関係者に対して、『想定外』と言い訳をしないための、企業のリスク管理」について考えます。


司会:
三神 万里子(ジャーナリスト)

トップインタビュー:
東京海上ホールディングス取締役社長 永野 毅 氏

出演:
ジェネラル リインシュアランスエイジイ P&C再保険オフィス
ジェネラルマネージャー

石井 隆 氏
仙台市経済局産業政策部参事兼経済企画課長 天野 元 氏
東北大学大学院経済学研究科准教授 西山 慎一 氏
東日本放送取締役相談役 伊藤 裕造   

トップインタビュー 永野毅氏 三神万里子 天野元氏 石井隆氏
伊藤裕造 西山慎一氏 議論風景