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2005年11月、大崎市・栗原市・登米市の3市にまたがる
423haにも及ぶ広大な「田んぼと沼」がラムサール条約の登録湿地となった。
条約は環境の保全だけでなく、ワイズユース(賢い利用)も求めています。
稲作における賢い利用とは?
そして街づくりにどう生かせるのか?
登録から1年が過ぎ、大崎市の田んぼには
悩みながらも「とにかくやってみよう」の精神で
チャレンジし続ける男性がいたのです。

成功のキーワードは、43年ぶり自然界でコウノトリ誕生に沸く兵庫県豊岡市に。
この街が掲げる「環境経済戦略」から、蕪栗沼周辺の将来像が見えてきそうだ。





 大崎市田尻(旧田尻町)に住む斉藤肇さんは
蕪栗沼の南、緩やかな丘陵になっている伸萠地区で稲作を営む農家
このあたりは蕪栗沼の干拓によって出来た新しい集落だ。
斉藤さんが農業を継いだのは7年前、最初は農業が嫌いだったという。
米価は安くなる一方、その上減反による生産調整もある。
斉藤さんは「若い世代がやりたいと思う、楽しく魅力的な稲作」を模索している。
この斉藤さんがオーナーとなっている【田守村】
村といってももちろん地図上の正式な村ではない。常駐する村民もいない。
そこにあるのは本部と呼ばれる手作りの小屋と田んぼだけである。
【田守村】周辺はいわゆる棚田で、稲作には適していない。
最近は減反の対象として米を作らず、荒地となっていた。
そんな場所を齋藤さんは「新しい稲作」を模索する場所として賢く利用している。
【田守村】には子供から大人まで気の合う仲間が集まる。そのほとんどは農家ではない。斉藤さんは「農家の集まりにでてもグチばかり。一般の人との交流からこそ得られるものがある」という。

 2005年11月、蕪栗沼とその周辺の水田はラムサール条約の登録湿地となった。
ガン類の採食場所として重要な周辺の水田を広大に含んでいるのが特徴。
わが国では初めてのことで、環境保全と水田農業との共生に向けて
今後どんな取り組みが進められ成果を挙げていくか?大きな関心を集めている。
農家の中には渡り鳥を、稲を食い荒らす害鳥と見る人がまだまだいる。
しかし斉藤さんは前向きにとらえ、冬水たんぼに取り組んでいる。
雁や白鳥が訪れることで米に付加価値を付けられるなどメリットを感じているからだ。
声高に環境保全を訴えてもそれだけで人は動かない。経済性も重要だ。
豊かな自然環境のワイズユースはラムサール条約の目標でもある。
【田守村】も元は荒地のワイズユースから始まった。
小さな取り組みの根源にあったのは、世界的なラムサール条約の目標でもあった。
果たしてこのコンセプトは新しい稲作の方向を示せるだろうか?




【ラムサール条約】
容易に破壊されやすい重要な湿地を世界各国が保全することを目的とした条約。

【ワイズユース(賢明な利用)】
ラムサール条約は湿地を厳格な保護地域にして
人の立ち入りを厳しく規制することを求めているものではない。
生態系と野生生物などの資源を子孫に伝えられるよう守りながら
湿地からの恩恵をうけつつ利用するのが基本原則。
伝統的な狩猟・漁業はもちろん適正に管理された観光利用もその1つ
もちろん稲作も!

【蕪栗沼】
「ふもとの沼辺に大栗林があり、その実は拳のようで味は甘美
つるかぶのようであった・・・」ことが名前の由来。
沼周辺は縄文時代の遺跡や貝塚が多く見受けられ、古くから定住環境にあった。
江戸時代は伊達家の直轄領土で藩主へ献上する「御用鳥」を捕獲した。
周辺は伊達政宗が改修・開発に力を入れた北上川流域でもある。
蕪栗沼も北上川の自然遊水池になっていたが
近代の度重なる干拓により、その大きさは元々の3分の1程度になっている

【冬水たんぼ(冬季湛水水田)】
冬にも田んぼに水を張る。抑草効果に加え
水鳥による除草効果・施肥効果・米への付加価値などのメリットがある。





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