番組内容
 日本製アニメを意味する言葉、「ジャパニメーション」。一度は聞いたことがあっても、それがどのように海外で捉えられているのか正確に知る日本人は少ないのではなかろうか。日本アニメのアメリカへの輸出額は年間5000億円を超える。これは、日本アニメが小型・中型乗用車に次ぐ巨大な輸出品であることを意味している。

 日本を訪れた外国人アニメファンの口から例外なく飛び出す作品名は大友克洋(おおとも かつひろ)の「AKIRA」。1989年に海外公開された劇場版アニメは、フランス、アメリカで大ブレイクし、記録的な興行収益をあげている。取材を続ける番組ナビゲーターの加藤晴彦は、外国人が熱狂した大友克洋が描き出す世界にひきこまれていく。
文化の都―パリ。そこでパリ大学第八大学造形芸術学科の教壇に立つ日本人がいる。佐藤達(さとる)さん。パリ国立高等美術学校を卒業した佐藤さんは、パリを拠点に世界中で35年余りも造形作家として活躍してきた。彼はこう語る。「日本のアニメはフランスでもとても人気がある。学生に誘われて『AKIRA』を初めて見たときには衝撃を受けた。」 「AKIRA」と聞くと今でも熱狂するソルボンヌの学生たち。佐藤さんは言う。「実は大友さんと私は同じ高校の出身なんですよ。」幼い頃、石ノ森章太郎と遊んでいたという佐藤さんは自らの造形作家としての「原風景」はふるさと宮城にあり、クリエーターというものは「原風景」から離れられないものだと語る。

 宮城県北部、迫町。楽天イーグルスで盛り上がる仙台市から北へ車で約2時間。静かな田園風景が広がるこの町の近郊には、日本有数の渡り鳥の飛来地伊豆沼があり、東北一の大河北上川が流れる。石ノ森章太郎が羽ばたくきっかけとなったこの町に、大友克洋は生まれ、そして育った。ナビゲーターの加藤晴彦はアニメ界の2大巨星の「原風景」を見つけるためこの地を訪れた。かつてこの町には軽便鉄道が走り、大友克洋の生家前を蒸気機関車が走っていたという。そうした「原風景」が作品にも反映されているのだろうか。宮城県佐沼高校の美術教室を訪ねた加藤は、石ノ森章太郎と大友克洋が同じ佐沼高校の先輩後輩であり、しかも共に美術部に籍を置いていたことを知る。
石ノ森は自身のデビュー30周年に製作した大作アニメ「幻魔大戦」で、キャラクターデザインと原画を大友に依頼している。同郷の二人の、最初で最後の共同制作が若い大友に飛躍のチャンスを与えた。そして、石ノ森から遡った先には手塚治虫がいた。アニメの専門家はこう語る。「大友克洋は手塚治虫以来、アニメ界の第2の黒船だった」。佐沼に現れた一隻の黒船が世界を席巻するジャパニメーションの扉を開いたのである。

 番組では、「JAPANESE COOL」として、アニメのほかに、フローリング全盛の日本とは逆に、アメリカやヨーロッパで注目されている「畳」、アカデミー賞受賞式で注目が集まった車、「三得包丁」など、身近なもの、意外なものをテンポよく紹介していく。