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渕井亮太

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016 親父のハンドル

2019年04月02日

 

「こちらは日本道路交通情報センターです。

午後4時現在の道路交通情報をハイウェイラジオ中央道・一宮御坂よりお伝えします。

はじめに名古屋方面へ向っている方に・・・」

 


 

 

カーラジオから聞こえる、あの独特な声のアナウンス。

 


まだ小学生だったころ、長野にある父の実家へ向う時よく聞いたものだ。

 

 

 

トンネルに入ると、途端に聞こえにくくなる。

 

 

 

父はその音量を上げて渋滞箇所を把握し、どのインターで高速を降りるかを母と話し合っていた。

 

 

 

幼い自分にとって、高速道路というのは不思議で、そして面白いものだった。

車窓からは、普段なかなか見ることのない景色。

それも時速100キロ近くで移り変わっていくのだから、非日常である。

 

 

 

時折音楽をかけながら、

 

(小さいころはカセットテープでドラえもんを流してもらったような…)、

 


ジュースを飲みすぎてしまい、トイレを我慢しながら、

 


心地よい揺れにウトウトしながら・・・。

 

 

 

普段はおとなしい父だが、ハンドルを握っている時は、頼もしくかっこよくも見えた。

 

 


 

あれから、20年。

 

自分で運転して、初めて高速を走った。

 

 

 

仙台の都心部の林立するビル群を抜けて、トンネルに入る。

 


それから高速のインターへ。

 


胸が高鳴る中、料金所から本線へと向う。ここまでは想像通りである。

 


どんどんスピードを上げて合流する。ここが一番緊張した。

 

 

 

 

 

しばらく東北道を走っていく。交通情報の標識が見えた。

 

ラジオの周波数を1620kHzにしてみる。

 

 

 

 

 

「こちらはNEXCO東日本です。午後1時30分現在の道路交通情報をお伝えします。

はじめに青森方面へ向っている方に・・・」

 

 
 

 

ハンドルを握っているのは、自分だ。

 

この音声を運転席で聞くのはなんだか変な感じがする。

 

 

 

助手席や後部座席に家族を乗せて走るのはいつになるのかな。

 

車に乗って桜を見に行くのもいいものだな。

 

 

 

父の姿を想像しながらそんな思いになった。