ウクライナ情勢の長期化や円安などの影響もあり値上げが相次いでいる。今後さらなる値上げも予定される中、生活費にどのくらいの影響がでるのか、第一生命経済研究所の永濱利廣さんに聞きました。

高島) 「ウクライナ情勢」ですけれども、経済的な影響は、どのようにご覧になっていますか?

永濱さん) 日本ではこれまでも値上げラッシュが続いていると思うんですけれど、ウクライナ情勢で更にその値上げラッシュに拍車がかかるんじゃないかと思います。

板倉) 今後値上げが予定されているものの一部をご紹介していきます。山崎製パンでは、7月の出荷分から食パンが値上げ。そして小麦粉は、各社25kgあたり370円の値上げとなっています。さらにはカップヌードルであったり赤いきつねも値上げ。あとは電気料金ですね。毎月値上がりしていましたけれども、来月も60円の値上げと。さらにはJRであったり、東京メトロの運賃についても、今後値上がりが予定されているという事です。

高島) これだけ値上げが続きますと、やはり私たちの生活に直接好影響が出てくるなという印象あるんですがいかがでしょうか?

永濱さん) そうですね、ウクライナ情勢の影響でいうと、もうすでに影響が出ているのが魚介類なんですね。というのも日本では、ロシアからカニとかサーモンとか鱈とか大量に輸入してましたから、それが止まってることによって既に値上がりしているのと。これからの影響としては、ロシアというのは原油とか天然ガスの主要な輸出大国でしたから、そこが止まるという事で、電気料金もさらに上がる可能性がありますし、またロシアというのは最大の小麦の輸出大国ですから、そういった意味でもパンとか麺類のさらなる値上げ、さらにウクライナがトウモロコシをかなり輸出してたんですね。ここも止まっちゃうとなると、餌代が高くなって最終的に肉とか乳製品の値上げに結び付いてくると。

高島) 実際にウクライナ情勢の影響が出てくる、本格的に出てくるというのはいつ頃なんでしょうか?

永濱さん) まず電気料金なんですけれども、化石燃料の輸入価格が3か月後の電気料金に反映されますから、そういった意味では6月分ぐらいから反映されると。もう1つの小麦なんですけれども、こちら日本は、政府が一括で輸入で買い付けて、それを製粉会社に売り渡しているんですね。その価格改定が4月と10月なんですけど、この前の4月の改定の値上がり分はまだウクライナ情勢の影響をほとんど反映しないんですね。となると次が10月値上がりになりますから、おそらくパンとか麺類の値上げは、年内にもう1回ぐらいあるんじゃないかなと思いますね。

高島) 永濱さん、私たちの生活費、具体的にどのくらい負担が増えそうでしょうか?

永濱さん) 仮に3人家族の平均的な世帯で言えばですね、去年に比べて5万円から6万円ぐらい年間で。大体、月だと4000円から5000円ぐらい増えると。 やはり大きいのはエネルギーですね。特に電気料金はすべての方が使いますから、そこで4~5万円ぐらい負担が増えて、あと食料品についても、やはりこれ毎日消費するものですからこれ1万円か2万円ぐらい負担が増えると思います。

高島) 相次ぐ値上げに拍車をかけているのがこちらの円安です。5月15日時点で1ドル=128円台後半ということですが、どのくらいまで円安進むとお考えでしょうか。 永濱さん) 為替は専門家でも予測が難しいんですけれどもあくまで私の予測としては、天井に近いとこまでいきつつあるのかなと思います。

高島) 永濱さんはこの辺で落ち着くと思う理由は?

永濱さん) そもそも今回の円安の最大の要因というのは、アメリカと日本の金利差の拡大なんですね。背景としては日本はずっと不況なので金利を低く抑えている一方で、アメリカは経済が過熱してインフレが高まってますから、それを抑えるためにどんどん金利上げていこうということで、すでに長期金利はかなり上がっている。ただ金利が上がるということは、アメリカ経済の足を引っ張ることになりますから、恐らく年後半はアメリカ経済減速していくのかなと思う。さらに物価上昇率も実は3月ぐらいをピークにちょっと下がり始めてから来てるんですね。となるとさすがに今年の後半以降はどんどん円安が進む状況ではなくなってるんじゃないかと予想しています。

高島) そしてこうした円安などを背景に過去最高益を上げている企業というのもあるわけですけれども。この最高益というのが給料という形で反映されるということはまだないんでしょうか。

永濱さん) 実はですね今年の春闘の結果というのがまさに今回の最高の業績を反映してるんですね。そういった意味では、一部輸出関連企業では春闘満額回答なんかもあって、そこは反映されてると思うんですけれども、ただ一方で中小企業はむしろ円安で輸入原材料の値上がりの悪影響を受けやすいですから、そうなるとなかなか中小企業は賃上げは厳しいかなと思います。

高島) 物価が上がり続ける中で収入が増えないのは本当に苦しいという感じがしますが。そして3つ目のキーワードは、新型コロナです。

板倉) 現在、1日の入国者数が1万人程度となっていまして、対象はビジネス関係者や留学生などとなっています。これが来月以降、入国者数が2万人に増やして、対象を観光客などを段階的に拡大していくという方針とのことです。永濱さん、これも日本経済の回復にもつながっていきそうですか。

永濱さん) もちろん、インバウンドが増えれば経済にプラスなんですが、新型コロナウイルスの前は月平均200万人以上外国人観光客がきていました。全然力不足なんですね。むしろ私が期待するのが今年のゴールデンウイークは3年ぶりに行動制限なく観光地が潤ったので、こういった状況が例えば今年の夏休みに行動制限なく旅行ができれば。日本国民が国内を旅行することを起爆剤ということで景気回復を考えらるのではないか。