今、最前線のハンターが危険性を訴えるのが「人間依存型のクマ」です。そのクマの特徴は。
秋田市では12月に入っても市街地の中心部でクマが徘徊(はいかい)しています。
6日には午前6時ごろから8時ごろまでの2時間で17件もの目撃情報が。同一の個体なのでしょうか。
番組の取材班が入手した防犯カメラの映像にクマの姿が…。
時刻は午前7時ごろ。歩道を歩く人がいるなか、その先にある建物の脇にクマが現れます。
歯医者の建物を通り過ぎると、歩行者と鉢合わせに。するとクマは車の前に飛び出し、車道を横断していきます。
その後もクマが走り去った方向で複数の目撃情報が…。
住宅街にある弁当店のスタッフは驚きを隠せません。
クマを目撃した人 「あちらからこっちに走ってきた。すごい勢いで走っていた。かなり大きかった。(体長)1メートル以上はあったかもしれない。実際こんな住宅街にいるんだなと怖さはあった」
冬眠の時期になっても市街地をうろつく「アーバンベア」にハンターは注意を呼び掛けています。
クマ撃ちの“マタギ” 西村昭二さん(53) 「山に戻っていないクマなので、食の変化というのは人間に依存している『人間依存型クマ』。もう人里でしか餌(えさ)を食べない感じになっているのだろう」
クマの出没が相次いだ2年前、人間依存型クマの行動が記録されていました。岩手県で牛小屋の中に侵入したクマを捉えた映像です。
牛が頭を出して餌を食べているなか、奥を見るとクマが3頭いるのが分かります。さらに左側にも。この牛小屋には合わせて5頭のクマが現われ、牛の餌を食べていました。
クマ撃ちの“マタギ” 西村昭二さん 「通年で牛舎にクマが通って餌を食べている状況。1頭、2頭、3頭、4頭、5頭とどんどん増えていって牛舎に餌があると認識したクマが餌場として通うようになってしまった」
市街地でクマの出没が相次いでいる岩手県。二戸市では8日から農場の牛小屋にクマが居座り、自治体などが対応しています。
人間依存型のクマは人を恐れない傾向があると警鐘を鳴らしています。
クマ撃ちの“マタギ” 西村昭二さん 「牛舎の中に入って20メートルくらいまで近付いても(クマと)目は合うが逃げなかった。人間が危害を加えないことを学習してしまったクマ。今の『アーバンベア(都市型クマ)』も全く一緒」
そもそも雑食であるクマは冬眠前に脂肪を蓄えるため、秋にはブナやミズナラなど比較的カロリーが高い木の実を食べるといいます。
ところが今年、人里に現れるクマは様子が違います。
9月、牛小屋の近くに現れたのは丸々と太った巨大なクマ。地面に付きそうなほど脂肪がたっぷりと垂れ下がっています。体重は165キロ。牛の餌を食べていたとみられます。
岩手県内の別の牧場では今年6月から今月までクマが度々、出没しています。
2年前から牛の餌を狙ってクマが牛小屋に侵入するように…。
最初のころは警戒する様子を見せていたものの、クマの行動は日を追うごとに大胆になっていきます。
牛の目の前で餌が出てくるパイプに顔を突っ込んでいます。食べているのはトウモロコシなどが配合された飼料です。
作業をしていた牧場のスタッフが近付くと、クマはようやく人間に気付いたのか、窓から去っていきます。
クマ撃ちの“マタギ” 西村昭二さん 「異常な光景。街に下りてきて徘徊するようになって色々な物を食べたり、餌場を探したり、自分の縄張り、行動域を広げていったのが今の『アーバンベア』『街クマ』。クマが人間との共生社会を作ってしまっているという考え方」
人間社会に依存するクマ。人里に行けば簡単に餌が食べられると学習したクマが増えているといいます。
クマ撃ちの“マタギ” 西村昭二さん 「街に出てくる『街クマ』に関しては人間がどこにいようが『いる』という確認をするだけで堂々と歩いている。非常に大胆な行動でどんどんエスカレートして、今度は住宅に入り込んだり、つながれている犬を襲ったり、今の街に出ているクマは恐ろしい生物だと思う」
さらに、人間依存型のクマは人里近くで冬眠する恐れもあると指摘します。
クマ撃ちの“マタギ” 西村昭二さん 「街中では眠りが浅いと思うので、ちょっとした騒音や何かで目を覚まして仮に冬眠していたとしてもすぐ場所を移して寝る所を探す。街の近くのクマが『床替え』をして行動する時に目撃されることは増えてくると思う」