梅雨の時期に気を付けなけらばならないのが食中毒です。
全国で2022年1年間に報告された、原因別食中毒発生状況のグラフです。食中毒の発生件数が1年で最も多いのは6月で、アニサキスとカンピロバクターの発生が大きく増加しています。
最も多いアニサキスについてですが、カツオやマグロなどの青魚やイカなどの魚介類に寄生しているアニサキスを食べてしまうと、胃や腸に刺さって激しい腹痛やおう吐などの症状を引き起こします。
カンピロバクターは、ニワトリやウシ、ブタなどが持つ菌で下痢や腹痛などに加えて場合によってはギラン・バレー症候群というまひ症状を引き起こすこともあります。
夏場にかけてなぜ、こうした食中毒が増えるのでしょうか。
東北医科薬科大学藤村茂教授「6月は、カツオなどの青魚の水揚げが増えるため、生魚の流通量が増えアニサキスによる食中毒も増加する傾向にあります。
カンピロバクターは厳密な理由は分かっていませんが、一般的に6月から7月にかけて気温と湿度が上がり菌が繁殖しやすい環境になるので増えているのだと思います。
アニサキスを確実に予防する方法は加熱です。70℃以上ですぐに、60℃だと1分で死滅します。
生食の場合には、マイナス20℃以下で24時間以上冷凍します。冷凍しない場合は、新鮮な魚を購入し内臓をすぐに除去します。アニサキスは体長が2センチほどあるため、目で見ることも重要dす。
カンピロバクターは、75℃以上で1分以上加熱することで死滅するため、肉を食べる場合は良く火を通すことが重要です。
これからの時期は、バーベキューを楽しむ人が増えると思いますが、カンピロバクターは生肉に付いていますので、生肉を取ったトングで焼けた肉を取り分けてしまうと菌を取り込んでしまう原因になります。
生肉を取るトングと、焼いた肉を取り分けるトングは別にした方がいいです」
集団食中毒の原因として多いものに、ウェルシュ菌があります。ウェルシュ菌は動物の腸や土壌などに広く生息し、酸素の無い所で増殖する菌で感染すると腹痛や下痢といった症状を引き起こします。
良く見られるのが、カレーや煮物などを作り置きした際に鍋の中でこの菌が増殖して食べた際に感染する例です。
東北医科薬科大学藤村茂教授「ウェルシュ菌は熱に強いという特徴を持っていて、100℃で1時間煮込んでも死なない場合があります。加熱をした後でも温かいまま冷蔵庫に入れてしまうと、中心部の温度がなかなか下がらず、温度ムラができるためウェルシュ菌が発生しやすくなります。
対策としては、まずは作り置きをしないことです。どうしても作り置きをする場合は、小分けにして冷蔵庫で急速に冷ましたうえで、なるべく早く食べること、そして、食べるときはかき混ぜながら十分に加熱することが重要です」