記録的な暑さの影響で、宮城県の稲刈りはこれまでにない早いペースで進んでいます。こうした中、県の北部ではこれまで見られなかった種類のカメムシの生息が確認されました。気温の高い日が続き、繁殖が活発になったことなどが原因とみられています。
大崎市古川の米農家、斉藤武康さんです。ひとめぼれやつや姫など、毎年110トンほどを生産しています。
斉藤武康さん「一部のひどい被害があった所で稲刈りした時にびっくりしました。これだけ被害がひどいのかと」
斉藤さんが収穫した米の一部には、カメムシによって黒く変色した米粒が混ざり3トン余りが値があまりつかない、くず米になりました。
カメムシの発生を抑えるためには、ある程度稲が成長した時期に薬剤を散布したり、田んぼのあぜにある雑草を除去したりすることが有効とされています。
斉藤さんはこうした対策を取りましたが、薬剤を散布した後もカメムシが好む気温の高い日が続いたため、効果を低減させたのではないかと話します。
斉藤武康さん「カメムシの被害というのは、実際にこうして精米して米にしてみないと見えないものですから、稲刈りするまでどれくらい被害に遭っているか分からないので、なかなか防除も色々と難しいですね」
米の品質を低下させるカメムシ。暑い日が続き、これまで宮城県南部に多かった種類のカメムシが宮城県北部でも多く発生し、県が注意を呼び掛けています。
米に害を与えるカメムシの一種、クモヘリカメムシです。体長約1・5センチと大型で、口の針を突き刺された米は黒く変色します。
クモヘリカメムシが増えていて、例年は1地点当たり1未満だった数が10を超えています。
県病害虫防除所大場淳司技術次長「基本的に南の暖かい所のカメムシということもありまして、やはり近年の気温の上昇や温暖化が影響しているものと考えられます」
クモヘリカメムシは口の力が強く、米のどこからでも突き破って中身を吸うため、ほかのカメムシに比べて収穫直前まで被害があるのも特徴です。
カメムシの被害を受けて黒く変色した斑点米があると、米の等級が下がる恐れがあります。
県病害虫防除所大場淳司技術次長「いかに水稲が出穂する前のカメムシの量を減らすかが大事になってきます。水稲の出穂が7月下旬から8月上旬とすれば、7月中旬までに周辺の草刈りを終えてくださいと指導しております」