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加川潤

加川 潤

148 新人

2013年04月12日

4月ということで東日本放送にも新入社員がやってきた。
彼らの姿を見ていると「夢や希望に燃えていた自分の新人時代」を思い出す、というようなことはまったくない。
ないけど4月なので、入社当時のことを思い出してみる。

1992年4月1日。
入社式が終わると甲子園に行け、と言われた。
春のセンバツで仙台育英が勝ち残っていたのだ。
甲子園で孤軍奮闘中のM坂記者を手伝うのが、最初の任務だった。
もちろん甲子園に行って、何をすれば良いのかは分からない。
当時の報道部長もそんなことは分かっていたはずだ。
おそらくよほど人間がいなかったのだろう。
私が選ばれたのは、新入社員のうちで私が既卒だったこととスポーツ新聞社からの転職ということで、スポーツに詳しい、と思われたのだろう。

甲子園に到着すると、報道陣の入り口を見つけた。
そこにはこう書いてあった。
「IDカード」を所持していない人は取材できません。

ガーン!

IDカードは持っていない。中に入れないじゃん。
しかしこのまま仙台に帰るわけにもいかないだろう。
私は勇気を振り絞り、役員室を訪ねた。
そして日本高野連の皆さんに向かってこう言った。

すみません。
私は、仙台の東日本放送の加川と申します。
実はIDカードを持っていないのですが、何とか取材させて頂けませんか。
申し訳ありません。
2度とこのようなことが無いよう気をつけますので、どうかお願い致します。

高野連の方の一人が、あきれた表情になってこう言った。

何を言っとるんや、君は。

それがIDカードや。

君が今、首にぶら下げているのが

IDカードやねん。

はあ。        
何だIDカードって記者章のことだったのか。
私は、銀行のキャッシュカードのようなプラスチックか金属で出来たカードを想像していたのだ。

ひょっとして俺は常識がないのか。
入社初日から無駄な勇気を使ってしまった私であった。

(終)