愛媛県と高知県で最大震度6弱を観測した17日深夜の地震では、これまでに10人がけがをしています。そして去年はこの時期、列島全体で1回だった震度5弱以上の揺れが今年はすでに23回起きています。

■ライト粉々…深夜に震度6弱

 街灯が倒れ、ライトの部分が粉々です。

 午後11時14分ごろ、豊後水道の深さ39キロを震源とするマグニチュード6.6の地震があり、愛媛県と高知県で震度6弱を観測しました。これまでに愛媛県、高知県、大分県で合わせて10人がけがをしています。

 震度6弱を観測した高知県宿毛市。65歳の男性が自宅の被害を見せてくれました。浴室ではシャンプーなどが散乱し、タイルは剥がれ落ちてしまっています。

被害に遭った住民 「タイルはもう横、全部ヒビが入って、あの辺とかヒビが入って」

 壁は歪んでしまっています。男性は大きな地震に驚いたといいます。

被害に遭った住民 「僕が小学校くらいの時に(地震が)あったけど、こんなに大きい揺れじゃなかった」

■水道の水濁り…愛媛でも被害

 愛媛県愛南町でも震度6弱の揺れを観測しました。道路の下を流れる水道管が壊れ、濁った水があふれ出ています。

被害に遭った住民 「ちょうど裸になって風呂に入ろうと思ったら、妻が入れんよって」 記者 「濁っていますね」

 住民は、こう話します。

被害に遭った住民 「愛南町が震度6弱というのはない。僕が来た18年の間にはない」

 実は愛媛県と高知県で現在の震度階級が導入された1996年以降、初めて震度6弱の地震が観測されました。

■“南海トラフ”影響は?想定震源域の震度6弱

 今回の地震は南海トラフ地震の想定震源域で起きました。やはり気になるのが、南海トラフ地震への影響です。

 気象庁は南海トラフにつながるとの見方を否定しました。

気象庁 地震津波監視課 原田智史課長 「今回の地震は、規模が南海トラフ地震の発生を検討する基準以下の地震だと考えている。もう一つは、南海トラフ巨大地震とはそもそもメカニズムからして違うものだと考えております」

■「震度5弱以上」今年既に23回

 しかし、気になるデータがあります。今年、日本全国で大きな揺れが多いというのです。

 今年に入ってから国内で震度5弱以上を観測したのは今回の地震を含めて23回。去年の同じ時期がわずか1回だったことと比べると、今年がいかに多いかが分かります。

 ただし専門家は、こう指摘します。

地震に詳しい愛知工業大学 横田崇教授 「今、(地震が)多いというふうに皆さん感じている通り、少し多いが、多い時もあれば少ない時もあるという、(今は)多い時でバラつきがあるんだと。それぞれの場所でひずみがたまって、それぞれの場所で地震が起こる」

■東海地方でひずみ?巨大地震の恐れは

 「ひずみがたまって地震が起こる」。今回の地震と同じように南海トラフ地震の想定域内でありながら長い期間、大きな揺れがない地域があるといいます。

 東海地方を震源とする震度5弱以上の地震は気象庁によりますと、13年前の2011年が最後です。

地震に詳しい愛知工業大学 横田崇教授 「愛知の方とか、そういう所は普段の地震が少ない。これは地震が起きないと言っているわけではなくて、それはひずみをためている。ひずみが蓄積していて、いつ起こるか分からないけれど、起きた時にドンと一気に解放されて、巨大な地震を起こす」

 いつ起こるか分からない地震。南海トラフ地震は今後30年以内に発生する確率が70%から80%とされています。防災グッズの準備や避難経路の確認などの対策が重要です。

 今回、高知県と愛媛県を襲った地震。揺れの大きかった地域では今後1週間ほど最大震度6弱の地震が起こる可能性があり、注意が必要です。