アナウンサーブログ

吉岡伸悟

感謝

15年9月14日

私がアナウンサー新人時代にとてもお世話になった方が
先日お亡くなりになりました。


1991年、CBC中部日本放送に入社。
その時のアナウンス部長だった方です。

落語の世界の「江戸っ子」そのままの粋で優しい人でした。

新人研修の初日、ホワイトボードに
「人」と書いて、
「アナウンサーとは何か、いろいろ考えたんだが、
つまり『人』だ、と言うことなんだな」と
禅問答のような説明をしたことを覚えています。

何を伝えたかったのか?後になって分かってきた気がします。
私たちの仕事は
言葉で何がしかを伝え、あるいはインタビューをして
人と人をつなぐ役割を果たしています。
様々な技術や知識も要求されますが、結局は「人」が問われます。

新人時代のある日のテレビニュース。
スタジオ入りが本番直前になり、というか
いすに飛び込む姿が放送に映るくらいぎりぎりで、
3階の報道フロアから1階のスタジオまで
階段を駆け下りて走っていったため息が上がり、
まともに声を出すことも出来ないくらい、
それはそれはひどい放送を出してしまいました。

あまりにひどすぎて誰も何も言わないのですが
この人だけがアナウンス部のソファで一緒に録画を見て
「よしよし、よくやった。いいんだ。立派なもんだ・・・」
と言ってくれたのです。
いま思い出しても涙が出ます。

葬儀には残念ながら参列できませんでしたが、
同期の女性アナ2人と連名で花を贈らせていただきました。
20年以上ぶりに同期と名前が並び、
改めてアナウンサー第一歩の時代を思い出しました。

私は今年の春、アナウンス部長になりました。
この部長の足元にも全く及ばないのですが、
様々教わったことを若いアナウンサー達に伝えていくことが
多少なりとも恩返しになるものと思っています。


テレビ朝日『モーニングバード』リポーターの
原元美紀さんはCBCの一年後輩です。
彼女がブログに、この方について書いています。
アナウンサーの世界について分かることもあると思います。
また当時のアナウンサーの集合写真に、若き日の私も
小さく写っていますので、ご覧になってください。




本当にお世話になりました。
どうぞ安らかにお眠りください。