肉じゃがになぜ豚肉派と牛肉派がいるんでしょうか。

■なぜ?東西で違い“くっきり”

 ホクホクのジャガイモにほんのり甘めに煮込んだ肉が絡み合う家庭料理の定番中の定番肉じゃがですが、皆さんの家では何の肉を使っていますか。

 混在する牛肉派と豚肉派。この違いは地域によってくっきりと分かれています。

 西日本では牛肉が、東日本では豚肉が主流だという調査結果があります。

 意見が割れたこちらの2人の出身地を聞いてみると、東と西で分かれていました。

 でも、それは一体なぜなのでしょうか。

 牛肉派も豚肉派も分からなかった肉じゃがに入れる肉が東西で異なる理由を徹底的に調べてみました。

 エリア別に見ていくと関東地方では豚肉派が57.1%ということでやや優勢なんですけれども、牛肉派も42.9%ということで僅差です。ただ、九州・沖縄エリアになりますと牛肉派が81.1%ということで圧倒的に多いです。

 なぜ、こんなふうに東西で分かれているのか。今回は、歳時記×食文化研究所の北野智子代表に話を聞きました。

 ターニングポイントは食肉文化が広がった明治時代ということで文化としての歴史が深いのは西日本です。

 西に都があった時代に朝鮮半島から牛の飼育技法が伝えられたんですけれども、水田が多かった西日本では牛の飼育が盛んになりました。

 江戸時代でも農作業では牛が大活躍していたわけです。

 そこから食肉文化が来た明治時代に肉を食べるとなったら身近に牛がいる。だから肉といえば牛ということで牛肉を食べるようになったといいます。

 東日本はどうして豚肉なのかといいますと、水田ではなくて畑が多いんですね。牛ではなく馬を用いていました。身近な存在は馬だったわけです。

 そこからターニングポイントの明治時代を迎えますと、馬よりも飼育が簡単な豚に移っていきました。

 豚は成長も早くて繁殖力が優れているということで東日本では豚が広まっていったわけです。

 つまり、このように東西の食肉文化の違いから肉じゃがに入れるお肉の種類も変わったんです。

 他にも実は食の違いがあります。カレーや串カツも、分かれているんです。

 さらに、関西ですと肉といえば牛肉ということで、豚肉を使う時はちゃんと豚肉だよと言わないと伝わりません。豚肉を使っている「中華まん」は、東日本だと「肉まん」と呼びますが、関西では「豚まん」と呼びます。こういうところにも表れているんです。