栃木県那須町で2人の焼けた遺体が見つかった事件。警察が任意で事情を聴いている男性が「飲食店を巡ってトラブルがあった」という趣旨の話をしていたことが新たに分かりました。

■焼けた2人の遺体巡り“トラブル”証言

 16日、那須町の河川敷で全身を焼かれた2人の遺体が見つかった事件。遺体で見つかったのは東京・台東区に本籍がある宝島龍太郎さん(55)。もう1人は40代から60代くらいの女性でした。

 死因は2人とも首を絞められたことによる窒息死で、女性は頭部を鈍器のようなもので複数回、殴られたとみられ、頭蓋骨(ずがいこつ)を骨折していたことが分かりました。

 この事件に関連して17日、都内の警察署に20代の男性が出頭。任意での事情聴取が行われました。

出頭した20代男性 「自分が那須での事件に関係しているかもしれません」

 この男性が「飲食店を巡って宝島さんとトラブルがあった」という趣旨の話をしていることが新たに分かりました。

■上野に“宝島ロード”被害者は実業家

 宝島さんは東京の御徒町駅周辺で10店舗以上の飲食店を経営。さらに、不動産の売買や衣料雑貨の輸入販売も手掛ける実業家でした。

宝島さんが経営する飲食店の元従業員 「あそこは“宝島ロード”になっているんですよ。半分以上が宝島さんの店で、業者さんが“宝島ロード”と。(宝島さんは)毎日、午後から夜までは自転車で回っているんですよ。売り上げを取りに行くために」

 夫婦そろって売上金を集金することもあったということです。

宝島さんが経営する飲食店の元従業員 「初めて店に行った時は排水管の修理をしていて、社長だとは思わなかったんですよ。スタッフさんに聞いて『あれ社長だよ』と。冷蔵庫が壊れたりトイレが詰まったり、全部、自分で(修理を)やるんですよ。本当にすごい。そこは本当に尊敬するんですよ」

■なぜ出頭?「闇バイトの可能性も」

 出頭した男性が話した飲食店を巡るトラブルとは何なのか…。

 元警視庁捜査1課の副島雅彦さんは出頭した男性が「事件に関与しているかもしれない」というあいまいな言い方をしていることから、こんな可能性を指摘します。

元警視庁捜査1課 副島雅彦氏 「事件が報道されることによって、自分が殺人とか死体遺棄とか重い罪まで被ってしまう。そんな罪を被るのは嫌だと、怖くなって警察に出頭してきて、話をしているというのが実際のところだと思うんですね。友人から頼まれた、ほんのちょっと車を準備するとか、もしくは闇バイトで物を運ぶとか。闇バイト的な関係で関わっていた可能性も考えられますよね」

■なぜ?“見える場所”に遺棄のナゾ

 副島さんは指示役が実行役や運搬役などを募る匿名流動型犯罪グループのような犯行形態だった可能性もあるとみています。

元警視庁捜査1課 副島雅彦氏 「(今回の事件は)ちょっとミステリーな部分があって、山林まで遺体を持って行っているのに比較的、見える所に捨てていますよね。単なる死体遺棄だけの役割分担の人たちだったので、がさつになった。(被害者の)身元が分かっても、主犯には捜査の手が及ばない。身元が分かるのが織り込み済みで、遺棄をした犯人についても、分かっても自分たちにはいかない。匿名流動型の典型的なパターンですよね。匿名流動型の殺人みたいなものだと非常に厄介ですよね」

 今回の事件について、警察は単独犯の可能性は低いとみています。

捜査幹部 「成人2人を運んで火を付けるなどの犯行を1人だけで行えるとは考えにくい。複数が関与している可能性が高い」

 警察は18日も20代男性に事情を聴いているほか、複数の関係者にも事情を聴いています。