全国で40℃に迫る記録的な暑さとなった日本列島。島根県を流れる斐伊川は、ほぼ干上がっていて、見渡す限り川底が見えてしまっています。この「猛暑」と「渇水」で私たちの食卓にも深刻な影響が出てきています。 ■記録的猛暑 関東40℃予想続出

(草薙和輝アナウンサー)「きのう40℃を超えた広島県安芸太田町の加計です。きょうも、時間を追うごとに陽ざしがどんどんと強くなり、うだるような厳しい暑さとなっています。」 安芸太田町加計の最高気温は39.2℃。体温超えの気温の中、子どもたちはミストで涼みます。 Q.きょう外どう? 「めっちゃ暑い」 Q.大丈夫、全身すごい濡れてるけど気持ちいい?何回目これ? 「3回目」 きのう2日まで、4日連続で40℃を超えた日本列島。きょう3日も、全国319地点で35℃以上の猛暑日となりました。 最高気温が38.4℃となった名古屋市。もはや日傘と携帯ファンは手放せません。京都は38.6℃。こちらの外国人観光客は、扇子で涼をとります。 東京都心は36.1℃、2日連続の猛暑日となりました。あさって5日には、関東で40℃以上の危険な暑さとなる可能性も。 ■危険な暑さ 夏野菜に異変 値段高騰

連日の“猛暑”で、“夏野菜”にも影響が…。 (買い物客 20代)「トマトとかは高いかもしれない。旬の野菜なのに高いんだっていう…」 (買い物客 30代)「トマト、今高いとちょっと困る。」 (スーパーイズミ 五味衛社長)「このトマトですね。これは先週までは199円くらいだったのが、100円上がってるんです。全て」 農林水産省は、気温の高さや少ない雨の影響で、トマトやきゅうりなどの夏野菜を中心に平年より、1割から3割ほど高くなる見通しだとしています。 こちらの店で、特に値段が上がっている“トマト”。仕入れるのも大変になってきていると言います。 (スーパーイズミ 五味衛社長)「入荷量がないと、商品がないので、お盆過ぎ、15日過ぎから来月にかけて、もっとすごい値段になると思いますよ。」 その“トマト”の生産現場は、どうなっているのか…埼玉の農園を取材すると―。 (グリーンファームらぱん 有賀義信取締役)「こんな感じで小さい玉しか採れていない。これはお花が咲いたけど実がついていないという状況になっています」 ここでは大玉トマトやミニトマトなど年間約450tを栽培していますが、この夏の時期の生産量が約8割減ったと言います。 (グリーンファームらぱん 有賀義信取締役)「実際暑いからトマトの木もくたばっているような状況で、自分の成長にエネルギーを使ってお花の方にエネルギーが回らないということも考えられるので、大きなトマトというのは日を追うごとに少なくなってきている。」 大きくならないトマト。通常出荷するものと比べると、半分ほどのサイズに。 暑さの影響は他にも、「色づきのムラ」や水分の吸いすぎでの「実割れ(裂果)」などを引き起こし、廃棄しなければならないトマトの数が増えていると言います。 (グリーンファームらぱん 有賀義信取締役)「夏に栽培できるような温度ではなくなっているのかなっていう気がします。ある程度涼しくあって欲しいんですけど、35℃を超えられるとさすがにこたえますね」 ■「貯水率0%」 コメ農家“待望の雨”も

先月29日、国交省が「貯水率0%」を発表した宮城県・鳴子ダム。一見、水はあるように見えますが、利用できる水の「最低水位」を下回ったため、1994年以来、31年ぶりに貯水率が0になりました。 その鳴子ダムの下流、大崎市で45年に渡りコメを作ってきた大友さん。農業用水が来ないため、田んぼにはひびが入っていました。 (コメ農家 大友學さん(66))「この白いやつが稲の花。この時期に一番水を必要とするんですよ、稲の場合。もっと進んでいくと赤くなって枯れてしまう。1週間も続いたら完全アウトですね」 Q.今、どれくらい降っていないのですか? 「雨っていう雨らしいのは1カ月以上はもう降っていませんね。」 すると、取材中に突然… Q.あれ、大友さん、今、なんかちょっとこれ? (コメ農家 大友學さん)「あー降って来たね、あー、降ってもらいたい、もっともっと強く降ってもらいたい。」 Q.降ってきましたね? 「この雨がね、半日でもいいから、降ってもらいたいですね」 Q.ちょうど今… 「まだ地面には到達しないけど、葉水だけでも本当に恵みの雨だね。本当に万歳したいですよ、バンザーイ、バンザーイ」 Q.いやー良かった…急に今… 「そーですね、雨男じゃないですか?」 しかし、喜びも束の間、雨が降ったのは、わずか10分ほどでした。 Q.今日金曜日ですけど、 明日の午前中にまとまった雨が降るかもー。 (コメ農家 大友學さん)「1mmくらいの予報は出ていましたよね。1mmはちょっと足りないんですよ。まあ足りなくてもとにかくそんなこと言っていられないので、いくらでも降ってもらえると…。」 そして、翌日… Q.すごい降ってきましたね? 「ええ、本当に恵みの雨ですね。まだ川水がないから、給水バルブ開けても水出ないんで。」 予報通り雨に…しかし、田んぼのひび割れを解消するほどの大雨にはなりませんでした。 (コメ農家 大友學さん)「下に水がたまっていれば、なおいいんでしょうけど、もう天に祈るしかないですね。」 前日に降った雨で、ダムの貯水量はどうなったのか…この日、鳴子ダムに行ってみると… (金子友広ディレクター)「鳴子ダムの水量ですが、増えているようには見えません。」 貯水率0%になった先月29日と比べると、雨が降ったにも関わらず、0%のままで、さらに水位が下がっていました。記録的な水不足で稲の生育への影響が懸念される中、3日、小泉農水大臣は、ブランド米の産地として知られる新潟県南魚沼市のため池を視察しました。 (小泉農林水産大臣)「今回必要があれば給水車も出します。コメの収量に不安がある地域に水が来たと、そういった状況を届けていきたい。」 ■「渇水」干上がる川…畜産業も悲鳴

(役場のアナウンス)「これまで以上に徹底した節水の取り組みを強くお願いします。」 “渇水”は、市民生活にも影響を…。 給水スポットには、ポリタンクを持った人の行列ができていました。 Q.何にお水使いますか? (給水に来た人)「洗濯ですね。うち5人家族なので洗濯の量が多くて、1回回しただけでも結構水使っちゃうんですよね。」 この1カ月の降水量が平年の20%以下の地域は、日本海側を中心に全国的に広がっています。島根県では、大部分が干上がってしまった川も。 (小川麻子ディレクター)「ここは本来、川なんですけれども、ご覧のように一面水が干上がって砂漠のようになってしまっています。」 こちらは、出雲市を流れる一級河川、斐伊川です。この夏、雨がほとんど降らず、川底はすっかり乾いてしまい、訪れる水鳥たちもどこか寂しげに見えます。美しい砂州が特徴的な川で、普段から水量はそれほど多くありませんが、ここまで水が少ないのは、地元の人も見たことがないと話します。 (近くに住む人)「めったにない、今年みたいなのはないよね。えらいことですよ。これ以上、雨が降らないとダメですよね。」 雨不足の影響は、ここにも…。出産の役目を終えた母牛を大切に育て、ブランド和牛として出荷する畜産農場です。 (熟豊ファーム 石飛修平社長)「これはミストの気化熱で涼しくしているところです。(牛も)暑いと息が荒くなって、やっぱり熱中症っぽくなるので。」 これまで牛の暑さ対策のミストや飲み水には、地下からくみ上げた井戸水を使っていましたが、今年の夏は異変が。 (熟豊ファーム 石飛修平社長)「井戸水が枯れちゃっていて、今は全部、水道水を使わないといけない状況ですね。ケチってしまうと死んでしまうので難しいですね。」 牛の健康を守るには、大量の水が必要だと言います。 (熟豊ファーム 石飛修平社長)「50Lとか80Lとか一頭で飲みますので。ミストや飲み水が切れないように水道水で対応しているけど、どうしてもその分コストが上がってしまう」 島根県内では、水道水が危機的な状況になっている地域も… (小川麻子ディレクター)「雲南市の尾原ダムです。連日雨が降らない影響で水位が下がり続け、あちらをご覧ください。水の中にあるはずの陸地が見えてしまっています。」 きょう正午時点での貯水率は28.4%ですが、このまま雨が降らない状況が続けば、お盆明けにも貯水率が0になる可能性もあり、「給水制限」も検討されるといいます。 気象庁の1カ月予報で、東北日本海側と北陸地方では、曇りや雨の日が多くなり、平年並み、または平年を上回る降水量を予想しています。ただ、これまでの少雨を解消するほどの降水量にはならない可能性があります。 8月3日『有働Times』より