アメリカ軍のヘリコプターに対して、地上から発砲しているとみられる映像。トランプ大統領は、自身のSNSで「イランの新型防空システムで撃墜され、山岳地帯に取り残されていた米軍のF15の乗員を特殊部隊が救出した」「アメリカ史上最も大胆な救出作戦を成功させた」と明かしました。その一方で、事実上封鎖されているホルムズ海峡の開放を巡っては、再び「48時間」という期限を持ちだして、イランを揺さぶっています。番組では独自に、ホルムズ海峡をイラン側から撮影した映像を入手。数十隻近いタンカーなどが滞留しているのを確認できます。世界で深刻化するエネルギー危機を左右する「海峡封鎖」の実態をカメラが捉えていました。 ■F15撃墜「緊迫の救出劇」懸賞金も
日本時間の午後1時すぎです。 (CNN)「アメリカ兵の捜索で新たな展開です。トランプ大統領がつい先ほど、救出が確認されたと投稿しました」 そのトランプ大統領の投稿です。 (トランプ大統領のSNS)「救出した!ここ数時間でアメリカ軍は、アメリカ史上最も大胆な捜索・救出作戦のひとつを成功させた!彼は今、無事で安全だ!」 「F15撃墜 緊迫の救出劇」 アメリカ軍のF15戦闘機がイラン領内で撃墜されたとイランの国営メディアが伝えたのが3日― 乗っていた2人は機体から脱出したものの救出されたのは1人だけ― もう1人はイランの領内に取り残されたのです。 そして、このアメリカ兵を見つけ出すためのアメリカとイランの生死を賭けた競争が始まりました。 (トランプ大統領のSNS)「この勇敢な兵士は危険なイランの山岳地帯で敵に追われ、時を追うごとに包囲が狭まっていた。」 イラン政府は報奨金を出すとして地元住民にも捜索を要請。 (捜索に協力する住民)「神のご加護あれば見つかる。心配はいらない」 一方、ニューヨーク・タイムズによると、アメリカは数100人の特殊部隊隊員、数十機の軍用機やヘリコプター、さらにサイバーや宇宙などの情報収集能力を投入しました。 アメリカ軍は、取り残されたアメリカ兵から遠ざけるためにイランの車列を空爆。また特殊部隊がこのアメリカ兵に接近する中で銃撃戦も発生したといいます。 (トランプ大統領のSNS)「アメリカ側の死者も負傷者さえもなく作戦を成功させたという事実は、圧倒的な制空権と優位性を達成したことを示している」 ただイランは戦闘機の撃墜と同じ日、アメリカ軍の攻撃機、A10「サンダーボルトII」も攻撃。さらに― (CNN)「この映像では、イランの警察官が低空飛行をするブラックホークとみられるヘリに対して発砲しています」 CNNが報じたこの映像― 「アメリカのヘリコプターだ。米軍だ。攻撃しろ」 車から下りてきた複数の人物が、アメリカ軍のものとみられるヘリコプターに向かって発砲をしています。 (イラン中央司令部 ゾルファガリ報道官)「アメリカ軍のいわゆる救出作戦は、イラン軍の迅速な対応によって完全に失敗に終わった」 イランは、アメリカ兵の救出のために投入されたブラックホーク・ヘリコプター2機とC130輸送機を警察の特殊部隊などが撃墜したと主張しました。 一方、アメリカ・メディアによると、救出に投入された輸送機2機が離陸できなくなり、イランの手にわたるのを防ぐためアメリカ軍が爆破したといいます。 ■革命防衛隊 元司令官明かす“戦力”
4日前には、国民向けのテレビ演説で大見得を切って見せたトランプ大統領。 (トランプ大統領)「イランの海軍は消滅した。空軍も消滅した。ミサイルはほぼ使い果たされたか、無力化された。」 これを遠く、テヘランの地で見ていた人物がいます。 (革命防衛隊 元司令官 ホセイン・カナニマガディム氏)「演説でトランプは我々を『石器時代に戻す』と発言しましたが、イラン人は降伏するような民族ではありません。」 革命防衛隊の元司令官ホセイン氏は、前の最高指導者ハメネイ師とも直接面会できる立場で、西側メディアへの発言も許されている人物です。 (革命防衛隊 元司令官 ホセイン・カナニマガディム氏)「ミサイルの損害は皆無です。アメリカの戦闘機を撃墜した新しい防空システムは、実戦投入されたばかりの新型兵器です。」 イランはレーダーに頼らず、敵航空機の熱源を追尾することができる、最新鋭のミサイルシステムを開発したとしていて、ABCニュースはそれが使われた可能性に言及しています。 (革命防衛隊 元司令官 ホセイン・カナニマガディム氏)「我々がレーダー探知機を使わずに捕捉したことは、アメリカにとって衝撃でしょう。」 トランプ大統領は4日、SNSに「イランに地獄が降り注ぐまで48時間だ」と警告。これは先月、10日間延期するとしていた、“発電所への攻撃”を指すものとみられます。 (革命防衛隊 元司令官 ホセイン・カナニマガディム氏)「軍需工場向けの5つの発電所があり、1つが被害を受けたら、他の発電所が代わりに電力供給する仕組みが構築されています。我が国の防衛システムは地下に設置され、地下発電所もあります。アメリカが地上戦に突入するなら歓迎しましょう。一人残らず葬るために、墓はもう掘ってあります。」 ■イラン国営メディアが招待 現地映像入手
一方で、トランプ大統領は、ホルムズ海峡の安全確保を、関係国に“丸投げ”するような発言も繰り返しています。 (トランプ大統領)「日本にもやらせればいい。石油の90%が海峡から輸入だ。」 ホルムズ海峡の封鎖はいつまで続くのか。 「かなり多くの船がいますね」 「本当だ」 「近くだけで数十隻はいる」 「こちら側だけで数十隻だ」 「反対側はどうなっているかな?」 これは1週間前の先月29日、カナダ人のジャーナリストが撮影したホルムズ海峡の映像です。 (カナダ人ジャーナリスト ディミトリ・ラスカリス氏)「いまホルムズ海峡の水域に入っています。岸から数km離れたところにいます。上空にドローンがいるので、ここには20分しかいられないと言われました」 カメラが捉えたのは、沖に停泊する数十隻のタンカーや貨物船です。 外国人ジャーナリストの取材ツアー。案内するのはイランの国営テレビ局の記者です。 (イラン国営テレビ記者)「私のすぐ後ろにはイランの船舶が見えます。ほとんどがイランの船です。イラン以外もいるかもしれませんが、彼らは港から一定の距離をとっています。ここで標的にされるリスクがあるからです。」 ツアー船が向かったのは、革命防衛隊の軍事拠点でアメリカによる上陸作戦の可能性が伝えられているゲシュム島の近く。イラン当局が設定した安全回廊を望む海域です。 (カナダ人ジャーナリスト ディミトリ・ラスカリス氏)「遠くに崖が見えますが、ペルシャ湾最大の島、ゲシュム島だと思います。強固に要塞化され、いかなる上陸作戦にも完全に備えているそうです。」 (カナダ人ジャーナリスト ディミトリ・ラスカリス氏)「肉眼だけで、約90隻のタンカーや貨物船を確認できました。そのほとんどは停泊しているように見えました。動いていませんでした。約3分の1はイラン軍が要求した書類を提出し、海峡通過の許可を待っているそうです。一部は許可されても、ほとんどの船が許可されていないのは明らかです。」 アメリカのブルームバーグ通信は、革命防衛隊が原油1バレルあたり、1ドル程度の通航料を徴収していると報じました。国別に「友好度」を5段階にランク付けしていて、友好度の高い国はより有利な条件で通航できるといいます。 (東京大学大学院 渡邉英徳教授)「イランが指定した航路の方ですね。そちらを通る船は1日に最低でも5隻か、それ以上通るようになっていますね」 東京大学大学院の渡邉教授は、ここ数日“安全回廊”を通航する船が増加したのに加え、南側のルートを通過する船も出てきていると言います。 3日に日本関連船舶で初めてホルムズ海峡通過が確認された商船三井のタンカーはオマーンに近い南側のルート。4日に通過が確認された商船三井のタンカーは「安全回廊」を通っています。 (東京大学大学院 渡邉英徳教授)「イラン側の(安全回廊の)このなんかちょっと緩めている、安定化しつつある感じ。オマーンっていういろんな意味で中立的な国が介在してきて、実際にそこを通過する実績ができたっていうことはプラスで、開かれつつあるっていうことは言えますよね。」 ■「日本今は友好国」 “ホルムズ通過”は
イラン側はどのような基準で、ホルムズ海峡の通過を認めているのか。 (革命防衛隊 元司令官 ホセイン・カナニマガディム氏)「我が国の敵対国と同盟を結んでいないなら、通航を要請することができます。我が国の資金を凍結している国は、その凍結解除を条件に通航が許可されます。安全保障のため、通航料の徴収をオマーンと共同で実施する予定です。」 では、日本はどうなのか。 元司令官は、在日アメリカ軍基地の存在を指摘しつつも、交渉次第では可能だとします。 (革命防衛隊 元司令官 ホセイン・カナニマガディム氏)「日本とは昔から友好関係にあり現時点においては友好国であると思っております。日本の外務大臣がイランの外相にコンタクトを取って交渉を行うか、在京のイラン大使館を通じて、通航の要請ができます。」 ■「子どもに何の罪が」取材中にも空爆
ホルムズ海峡を取材したカナダ人ジャーナリストがトルコ国境から陸路でイランに入ったのは先月20日。 (カナダ人ジャーナリスト ディミトリ・ラスカリス氏)「これがイランからの最初の報告です。けさ午前0時30分にここに到着したばかりです。他の外国人ジャーナリストたちとともに国営テレビ局の招待でイランに来ました。」 最初に案内されたのは、空爆でがれきと化した民家。「アメリカによる犯罪の証拠」と書かれた横断幕が貼られていました。 夫と2人の子どもを亡くしたという母親です。 (子どもを亡くした母親)「3歳と13歳でした。子どもたちに何の罪があったというの」 テヘランのモスクには数えきれないほどの人が集まっていました。 (礼拝の参拝者)「アメリカ国民に伝えたい、あなたたちの大統領は子どもだ。ネタニヤフ首相の操り人形だ」 カナダ人ジャーナリストの取材中にも空爆がありました。 街を案内するのはイスファハンの州知事です。 (イスファハン州知事)「ご覧のように、敵の容赦ない攻撃後も幸いなことに街の生活は続いています」 ■反政府デモ 群衆に実弾 なぜ発砲
「ハメネイを倒すぞ」 今年1月、経済への不満から反政府デモが拡大したイスファハン。治安部隊が群衆に実弾も発砲したと伝えられています。州知事に1月のデモについて尋ねました。 Q.イスファハンで抗議は起きたのか?何が原因だったのか? (イスファハン州知事)「経済に問題が起きることもあるのは間違いありません。しかし敵はそれを暴動にするのです。政府と国民の間に分断を生むために」 ■「米軍が地雷を空中散布」死者も
やってきたのは、空爆で死亡した家族の棺を乗せた車。革命防衛隊の大佐が殺害され、妻と2人の子どもも亡くなりました。 「殉教者よ、殉教者よ」 (カナダ人ジャーナリスト ディミトリ・ラスカリス氏)「いま小児ICUにいます。これから子どもに会いに行きます」 家族の中で唯一生き残った3歳の女の子です。 (カナダ人ジャーナリスト ディミトリ・ラスカリス氏)「爆撃の時から彼女はずっと意識がなく、家族全員が殺されたことも知りません。私はその場で泣き崩れてしまいました。」 26日に訪ねたのは、イラン南部シーラーズ郊外の村。 (カナダ人ジャーナリスト ディミトリ・ラスカリス氏)「きのう夜、イスラエル空軍かアメリカ空軍がこの村に磁気地雷を広範囲にまき散らす何らかの弾薬を投下したようです。」 「あそこにある、あれが地雷だ。小さな緑のやつ。これは爆発していないようだ」 独立系の調査グループ「ベリングキャット」によれば、ばら撒かれたとみられるのはアメリカが保有する空中散布型の対戦車地雷です。 アメリカが投下したものだとすればアフガン戦争以来、24年ぶりの地雷使用になるといいます。 (国営テレビ記者)「破片が車を貫通しているのがわかります」 拾った地雷が爆発し、ここで30歳の男性が死亡したといいます。生後4カ月の子どもと妻を残して。 (死亡した男性(30)の母親)「私も連れて行ってよ」 「あそこを攻撃している。早く進んで。」 (カナダ人ジャーナリスト ディミトリ・ラスカリス氏)「1日のどの時間帯でも、例えばベッドに横になっている時でも。突然、巨大な爆発音が聞こえてきます。私が話をした人の中でイラン政府を批判した人は1人もいません。全員がアメリカとイスラエルの『イラン国民を助ける』との主張に、驚きと嫌悪感を口にしていました」 ■「日常的に死刑」イラン“弾圧強化”の恐れ
一方、実際には多くの国民が政権に反対しているという証言も…日本の学術機関で中東研究を行っているイラン人の男性です。 (日本で中東を研究するイラン人男性(50代))「1月のデモ弾圧で(政府が)残虐に一般市民を殺戮したことが(国民は)許せない。」 イラン国内の研究者と情報交換を続ける男性は、国民は治安機関による弾圧を恐れ、自由に発言ができないといいます。 (日本で中東を研究するイラン人男性(50代))「死刑が日常的に行われているこの4日間で計5人の死刑が発表されている。(1人は)19歳の未成年だった。ほぼ恐怖政治。圧倒的に現体制に不満持っている。」 「軍事作戦の目標をほぼ達成しつつある」としてイラン攻撃の幕引きも探り始めたトランプ大統領。男性はアメリカがこの状況で手を引くことを危惧しています。 (日本で中東を研究するイラン人男性(50代))「イランの体制は革命防衛隊の支配下になっているので、(米の攻撃など)外から圧力が無くなると、政治的社会的抑圧・束縛が強くなるのが懸念。この戦争はイランの国民に無関係のもの。民間人の犠牲が出ないようにしてほしい。」 4月5日『有働Times』より
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