宮城県は、5月に公表した最大クラスの津波の想定について、市や町ごとに津波がどう襲来するかシミュレーション動画を作成しました。県はこの動画を「県民に不安や混乱を与える」などとして公表していませんでしたが、今回、khbの情報公開請求に応じ初めて公表しました。

 県が公表したシミュレーション動画のうち岩沼市のパートです。青い色は波が引いていく引き波を示します。黄色や赤は陸に押し寄せる押し波です。濃い赤に近づくほど高い波を表します。

 地震発生からの時間とともに、津波がどのような動きを見せるのか詳細に示しています。

 東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授は、このシミュレーションの精度は非常に高いと話します。

 今村文彦教授「今の数値解析の技術であったり、地形データや建物データを正確に入れるほど津波の複雑な挙動を本当に正確に詳細に再現、または予測することができます」

 動画は、市と町ごとに15のパートに分かれています。石巻市と東松島市のパートです。地震発生直後に石巻湾の色が青く変わり始めます。まず引き波が起こります。

 引き波は約50分続き、画面は押し波を示す黄色や赤に変わります。この第1波は、深く内陸に入り込み石巻市役所や東松島市役所周辺も浸水してしまいます。

 今村文彦教授「最悪のシナリオですので3.11よりもかなり範囲が広くなる」

 シミュレーションでは、引き波と押し波の繰り返しが何時間も続きます。

 今村文彦教授「津波が来て、それが戻ってまた違う方向から津波は入ってきます。それをずっと繰り返して3.11の時はなんと2日も、こういう複雑な状況を示していました」

 仙台市の沿岸です。

 今村文彦教授「ここも同様に引き波で始まりますのでブルーの色があります。それで、40分から50分にかなりの引き波が始まって、今度は1時間になる段階で、黄色から赤になります。これは押し波になります。河川の遡上と平野部から直接来る津波が、このように奥に侵入しています」
 「今、危険地域から住居は移動していただいておりますけど、今回の想定では今、住居のある所でも津波の影響はあります。従いまして、このクラスで津波が来るとなればきちんと避難をしないといけないとその必要性を理解いただけるんじゃないかと思います」

 県は、この動画をkhbが情報公開請求するまで公表しませんでした。
 今村教授は、行政が情報を積極的に公表することが防災に役立つと指摘します。

 今村文彦教授「最大級というのは、本当に3.11を上回る規模でありますので、そのまず実態をですね、こういう動画で本当にリアル感をもって見ていただきたいと思います」