重い心臓病を患い心臓移植を待っていた女の子が2023年にアメリカで移植手術を受け、成功しました。帰国から1カ月が経ちました。

 父親佐藤昭一郎さん「お父さんが本当大好きでこの子は(笑)。ね、葵な、お父さん大好きだよな」
 葵ちゃん「お父さんちゅき」
 東京都に住む2歳の佐藤葵ちゃんは、2023年8月にアメリカで心臓移植を受け、無事成功しました。

帰国から1カ月

 母親佐藤清香さん「あおちゃん。お母さんだよ。大丈夫だよ」
 生後3カ月の時に心臓から血液を送り出すことができない重症心不全と診断された葵ちゃん、助かる道は心臓移植しかありませんでした。

 日本の100万人当たりの臓器提供数はアメリカの51分の1、韓国の9分の1と諸外国と比べて少なく、2022年までに日本で行われた10歳未満の心臓移植は年間1件から7件です。

 葵ちゃんの家族はアメリカでの移植を決断しますが、保険が適用されない上、急激な円安の影響で必要な費用は5億3000万円に膨れ上がりました。
 母親佐藤清香さん「ぎりぎりのところで生きている葵を皆さんの力で助けていただきたいというそれだけです」

 両親が所属していた東北大学アメリカンフットボール部のOBらが中心になり支援団体を立ち上げて2022年11月に募金活動を開始し、仙台市でも支援を呼び掛けました。
 街頭募金「母親です。ありがとうございます」「頑張ってください、少ないですけど」

 両親は交代で、葵ちゃんの入院する埼玉県の病院に泊まり込んで付き添いました。自宅では長女が葵ちゃんの帰りを待っていて、家族離れ離れの生活が半年近く続いていました。
 父親佐藤昭一郎さん「(長女に)申し訳ないことしてるなっていう、この状態が。なので、早くみんな一緒に生活できる日が来るようにと思っています」

 募金開始から約1カ月で家族の思いが届き、目標金額を達成しました。2023年3月にアメリカに渡り、移植を待っていました。
 渡米から5カ月が経った2023年8月にドナーが現れ、葵ちゃんは移植手術にたどり着くことができました。

 2023年12月に約9カ月ぶりに元気な姿で帰国してから1カ月が経過し、家族4人での生活が始まっていました。葵ちゃんはお姉ちゃんのまねをしたり、時にはけんかしたりしながら日々成長しています。

日々成長を続ける

 母親佐藤清香さん「ドナーになってくれた方のご家族とかその子たちが送りたかった生活を、おそらく今私たちが送らせてもらっているんだなという気持ちがふとした瞬間に思う時があって、申し訳ないっていうのではなくてありがたいなとすごい決断だなと、その度に思いますね」
 父親佐藤昭一郎さん「もう毎日のようにつらかった時、葵が苦しかった時と比べて泣きそうになっちゃいますね。良かったよね、葵」

 この日、一家は川崎市のスタジアムを訪れました。全国の大学アメリカンフットボール部OBによる大会です。参加費などは難病の子どもたちのために寄付されます。
 支援団体のメンバーなど葵ちゃんの移植に協力した人たちが、次々と葵ちゃんの元へ。
 あおちゃんを救う会メンバー「本当に感無量というかそれだけですね。ずっと成長を今後も見守っていければなと思いますよね」

支援に感謝

 選手として参加した昭一郎さんは、大会の冒頭でこれまでの支援に対する感謝を伝えました。
 父親佐藤昭一郎さん「私の娘の佐藤葵が、こうして元気に移植手術を終えて日本に帰って来ることができました。ありがとうございます。この子は移植は終わったんですけど、一生薬を飲み続けなければならなかったり、いくつかの制約はあるんですけども、ないもの、できないことにとらわれるのではなくて、できること、あるものに目を向けられるような子にしたいと思っております。皆さん改めまして本当にありがとうございました」

 父親佐藤昭一郎さん「支援していただいた皆さんのおかげで、こうして私の念願だった(葵が)試合を見に来るというところもかなえさせてもらったりして本当にありがたいですし、これから元気いっぱいに育てていきたいという思いを新たにしました」
 母親佐藤清香さん「1日1日、頂いた命なので大切に、楽しいことを見つけて、できることに目を向けて暮らしていきたいなと思います」