12年ぶりに仙台に帰ってきた劇団四季のミュージカル、キャッツの舞台裏を取材しました。
「ジェリクル・キャッツを知っているか」
都会の片隅にあるごみ捨て場を舞台に、24匹の猫たちの生き様を描いた劇団四季のミュージカル、キャッツ。5月から12年ぶりの仙台公演が始まっています。連日多くの人を集める仙台公演。俳優、コスチューム、舞台監督、ヘアメイク。それぞれの立場でステージを支える劇団員がいます。
開演3時間前、真剣な表情で台本と向き合うのは俳優の岩崎晋也さん。猫たちをまとめるリーダー、マンカストラップを演じる1人です。会場全体にセリフを届けるため、劇団独自の母音法と呼ばれるトレーニングでウォーミングアップです。
俳優岩崎晋也さん「(マンカストラップは)憧れでしたね。ずっと違う猫をやってて、違う猫からマンカストラップっていう猫を見た時にすごくかっこ良くて。魅力的だし頼りがいもあるので、いつかやりたいなっていう」
そんな岩崎さんたち俳優が猫を演じる上で欠かせないのが、個性豊かな衣装です。衣装を担当する石原文香さんは、開演前のメンテナンスに余念がありません。
衣装担当石原文香さん「何秒とかしか無い時に、ぱっと穴を閉じないといけなかったりとか。猫たちは膝でバーッと床を滑るので、絶対に穴が開くので対応してます」
色や材質が異なる毛糸を使って、それぞれの猫の個性を表現しているそうです。
衣装担当石原文香さん「終演後にお客様から拍手をいただいてる時は、私たちもすごくうれしいです。(衣装の)早替えもやっているので、やって良かったなと思います」
塩月菜々瀬記者「こちらにはレストランHACHIの食器などが再現されています。お箸が私の腕より長いです」
猫の目線に合わせて3倍から5倍のサイズで作られたごみのオブジェは、レストランHACHIや萩の月など、仙台ならではのご当地ごみも再現されています。
裏方のスタッフたちをまとめる舞台監督の村田舟さんが、ひそかに楽しみにしていることは。
舞台監督村田舟さん「1つだけ四つ葉のクローバーがあり、それの場所を毎日変えているんです。わざわざ見つけに来てくれる人がいるので、その人のために色々な場所に隠すのが僕の中で楽しみにしてます」
そんな遊び心もある舞台の開演前には、本番で使う装置を実際に動かして異常が無いかを入念にチェックし、本番を迎えます。俳優とスタッフの入念な準備があってこその舞台です。
「人ができる範囲ですごく猫に見える動きっていうんですかね。猫として生きてる、舞台の中で生きてるやんっていう気持ちにすごいなりました」
12年前の仙台公演にも来ていたという人も。
「実家が流されてしまったので、実家の親とかも仙台に来て。何も考えないで楽しく観れたのかなと思うんですね。会場と一緒になって楽しむみたいなことがあって、とても楽しかったです」
ステージが終わった後も、翌日の準備を続ける人たちがいました。ヘアー・メイク担当の津川実夢さんは、キャッツで使われる26枚のかつらを1人で担当し猫たちの豊かな個性を表現しています。
ヘアー・メイク担当津川実夢さん「白黒の模様と、あとメイクも白黒なのでそこがつながるようにしっかり角度を考えながらセットすることと、2D感にどうしても見えてしまうので、そこをいかに躍動感のある3Dな野良猫に見せられるかを考えながらセットしてます」
こうした各セクションでの日々のメンテナンスが、ロングラン公演を支えているのです。 12年ぶりの仙台公演は8月20日まで。俳優の岩崎さんに今回の公演への思いを聞きました。
マンカストラップ役岩崎晋也さん「12年前は本当に震災直後で、どうやったら皆さんを盛り上げて元気を付けられるかなっていう思いでやっていたんですけれども、今回は逆で。スタンディングオベーションだったり歓声がすごくうれしくて、逆に僕たちが元気をもらってますっていうほんとに感謝の気持ちですね。12年前とは違った演出、そして個性豊かな猫たち、本当にどの世代でも楽しめるミュージカルとなっております。是非劇場にお越しください、お待ちしてます」