ノーベル賞の授賞式を前に化学賞に決まった京都大学の北川進さんが記念講演に臨み、自身が開発した「多孔性材料」の実用化のためには「チームワークが重要」だと訴えました。

京都大学 北川進特別教授 「荘子は、こう記しました。『人はみな有用の用を知るも、無用の用を知ることなきなり』と。この考え方は難解ですが、私の心に深く残りました」

 北川さんは8日、ストックホルム大学で地元市民らを対象にした記念講演に臨み、座右の銘「無用の用」を紹介しました。

 北川さんが開発した「多孔性材料」は「二酸化炭素の除去」や「空気からの水の抽出」など、国際社会の課題を解決する可能性を秘めています。

京都大学 北川進特別教授 「(多孔性材料を)商業化及び社会に移行するには工業生産レベルの材料を製造するためのプログラムが必要です。つまり、良いチームワークです。基礎研究、スタートアップ、そして社会の連携です」

講演を聴いた現地駐在の会社員 「日本だけではなく、世界的に気候変動とか問題になっているなかで、解決するきっかけを日本人が発見したのは同じ日本人として誇らしい気持ちで今回のレクチャーを聴いた」

講演を聴いたストックホルム市民 「北川氏は今日の世界の非常に深い問題や課題の解決に貢献していると思うが、最も大切なことは彼が学生や同僚の貢献を認めていることです」

 ノーベル賞授賞式は日本時間の11日未明に行われ、生理学・医学賞に選ばれた大阪大学の坂口志文さんも出席します。