首都直下地震の被害想定が12年ぶりに更新され、19日、公表されました。想定の死者数は減少したものの、10年間で半減するとした目標は達成できませんでした。
政府は、2013年に発表した首都直下地震の被害想定を見直し、19日、報告書を公表しました。
被害は、東京23区の南部でマグニチュード7.3の地震が発生したケースを想定していて、江東区などで震度7になります。
地震による死者数は前回の想定の2万3000人から1万8000人に減少しましたが、10年間で半減させるという目標は達成できませんでした。
また、建物の耐震化が進み全壊や焼失する棟数が61万棟から40万棟に減少しましたが、高齢化に伴って在宅率が上がるため、建物の倒壊や火災で死亡する人の割合が増えるということです。
一方でライフラインへの影響は深刻です。
首都圏の人口が増えたことで停電する世帯は、最大で前回の1200万軒から1600万軒に大幅に増加しました。
さらに、下水処理場での停電などを考慮すると、トイレなどの下水設備を使えなくなる人が最大で200万人になりました。
こうしたことから、災害関連死は地震による死者数を上回る可能性があり、最大で4万1000人と推計しました。
また地震後の避難行動や避難生活に伴って心身の負担が増えたり、平時に受けていた医療や看護、介護サービスを受けられなくなるため、健康状態の悪化も想定されます。
内閣府は「首都直下地震発生時に自らが極めて困難な状況に見舞われる」として、各個人が「自分ごと」として日頃から地震に備えるよう求めています。