海外で日本酒への注目が高まる一方、日本国内では、若者の酒離れがささやかれています。こうしたなか、若者をターゲットにした“日本酒カクテル”の店が都内にオープンしました。

店員 「ジャスミン・ポップ・ベリーニになります」

 ありがとうございます。あ、お茶の香りしますね。いただきます。甘くて、フルーティーな味わいです。ただ実はこれ、日本酒を使ったカクテルなんです。

 東京・渋谷に先月30日、オープンした「SummerFall Tap Cocktails」 。20代~30代の若者をターゲットに、「“おしゃれなカフェのような場所“でお酒を楽しんでほしい」という狙いがあります。

 メニューの多くは日本酒を使った本格的なカクテル。一般的な日本酒はアルコール度数が15度前後、カクテルは高いもので40度を超えるものまでありますが、こちらではそれより低い10度前後のカクテルがいくつも選べます。

男性 「これがワサビ・ユズ・スピリッツ。日本酒あまり好きじゃないんですけど、苦手でも飲めるかな」

女性 「(日本酒って)いっぱい飲みたいけど、度数強くて、お腹いっぱいになるのでサワー代わりにいっぱい飲めちゃう」

 特徴的なのは、ビールなどを空気に触れないように注ぐ際に使われる「タップ」からカクテルが出てくるということ。

 店を手掛ける、株式会社WAKAZEは「日本酒を世界酒に」を掲げカリフォルニアやパリなどの海外で「SAKE」を製造、販売しています。

 代表を務める稲川さんは、パリで手掛けたカクテルをタップで提供する店舗が好評だったことをきっかけに、新たなアイディアを日本で形にしたと言います。

株式会社WAKAZE 稲川琢磨社長 「カクテル市場の拡大っていうのは、私も実感を持って感じてきました。タップから日本酒ベースのカクテルを提供できる店があったら、カクテルの裾野も日本でも広まる、し日本酒も飲んでもらえるようになる」

 現在、日本国内では日本酒の消費量や出荷量が減少していて、酒蔵の廃業が増加するなど、苦境が続いています。

 若者のなかで、ノンアルの人やあえて酒を飲まない「ソバーキュリアス」といった新たなライフスタイルも生まれるなか、「SummerFall Tap Cocktails」は「タイパ」「コスパ」「わかりやすさ」などを意識し、酒消費の裾野を若い人たちにも広げようとしています。

稲川琢磨社長 「(特徴は)タップですぐ出せて飲めること。フレッシュで、おいしいカクテルが手軽に。カクテルのことを知っている人もいるが、そうじゃない方でも直感的に選べるメニューにしている」

 店を訪れた人からは、酒の飲みやすさだけでなく、店の入りやすさを評価する声が。

男性客 「これだけポップな雰囲気だと若い世代もすごく入りやすい」

女性客 「(店内が)めっちゃオシャレ。壁一面のメニュー表とかタップとか」

 オープン日、予想以上の客入りに、嬉しい悲鳴が聞こえてきました。

 「若者の街・渋谷」から「新たなお酒の場」への挑戦です。