宮城県では1月から8月までに労災事故で亡くなった人が7人、休業4日以上のけがをした人が1340人に上っています。労災事故を防ぐための企業の取り組みです。
7日、仙台市太白区あすと長町にあるkhb東日本放送本社のぐりりホールで、労災事故を減らそうと厚生労働省が進めているSAFEコンソーシアムの勉強会が開催されました。
SAFEコンソーシアムは、企業や団体が業種を越えた安全対策の共有を目的に厚生労働省が2022年に設立しました。
7日の勉強会には製造業や建設業、小売業など宮城県内外から13の企業や自治体が参加し、職場に潜む危険や事故を防ぐ方法について意見を交わしました。
参加者「こういう事故が起きると日常生活に影響がありますよと伝えているんですね。骨折したら日常生活ちゃんとできないですよと」
仕事中の事故でけがをしたり命を落としたりする労災事故は、厚生労働省によりますと休業4日以上の負傷者は、2016年の11万6982人から2025年は13万4633人と、10年で1万7000人以上増加しています。
勉強会では、過去の事故事例を撮影し注意点などを具体的に伝えるための動画制作のポイントも紹介されました。
講師「実際に撮影するポイントとしては、どこで作業をしているのか分かってもらいたいので画としては広い感じで」
勉強会には、全国に263店舗を展開する大手ホームセンターのカインズも参加しました。小売業では労災事故が増えていて、亡くなった人や休業4日以上のけがをした人の数は2016年の1万3444人から2025年は1万6464人と、10年で3000人以上増加しました。
こうした中でカインズでは労災事故の件数は減少していて、過去2年間はいずれも95件と過去最少を記録しました。
カインズは、危険予知トレーニングの頭文字をとった通称KYT活動を毎月行っています。
従業員にスマートフォンなどに店舗で発生した過去の事故をイラストなどで配信して、原因や防ぐ方法を考える問題が出題されます。
パート従業員「自分にも当てはまることなので、これを見て気をつけなきゃいけないなと感じる」「安全に対する意識をメンバーに周知して実行しているということで、私たちも安心して働けると思います」
月に1回配信される問題の数は、15問から25問です。正解しなければ次に進めず、答えを覚えるのではなく危険について考える習慣を身につけてもらう狙いです。
問題は、事故直前の様子をイラストにしていてどのようなリスクがあるかを選択して、事故の原因や防止策についても選択肢から回答していきます。店舗で実際に起きた事故を基に、実写で撮影したうえでイラスト化します。安全に関する専門部署が撮影します。
この日は、通路に積まれた商品を押してバランスを崩して転倒する場面を撮影していました。
カインズコーポレート本部総務部坂田昌之部長「店舗のメンバーが実際に題材になっていたり、比較的最近起きた事故を取り上げたりするほうが、メンバーとしても自分事として考えやすいかなと」
問題は全国の店舗の従業員約2万7000人に配信され、実施率は88%を記録しています。
カインズコーポレート本部総務部坂田昌之部長「スタートした時は、かなりのメンバーから毎月やるの?みたいな声をいただいたりとか」
それでも寄せられた意見を基に内容を改善し、今では配信が数日遅れると従業員側から担当部署に問い合わせが来るほどになりました。
カインズ総務部坂田昌之部長「今月のKYT流れていないんですけど、という問い合わせが来たりするぐらい、今は当たり前に安全活動としてやる取り組みの1つとして定着しているなという印象を持っています」
こうした労災事故防止の取り組みが評価され、優れた対策を表彰するSAFEアワードを5年間で3度受賞しています。
更に、設備面でも対策しています。カインズが独自に開発した踏み台は踏む面を広くして安定性を高めたほか、人が乗ると重さで脚が床にしっかり接地する仕組みになっていて、転落事故などの防止を図っています。
活動が日常に根づきつつある一方で、課題も残っています。
カインズコーポレート本部総務部坂田昌之部長「過去に起きた事故を風化させない仕組みであったり、今行っている活動をメンバーが飽きさせないようにやり続ける仕組みにしていくか、そこは常に課題かなと感じています」
SAFEコンソーシアムは、今回の勉強会のように企業同士が労災事故を防ぐための知識や対策を共有する取り組みを進めていくということです。