宮城県石巻市に避難しているウクライナ人の女性が、日本の夏祭りを楽しみました。周囲の支えもあって、伝統の大漁踊りにも参加できました。

 6日と7日、3年ぶりに開催された石巻川開き祭りでは、孫兵衛船のレースやパレードが行われたほか、約6000発の花火が打ち上げられました。

 2日間の人出は12万8500人と2019年の7割程度でしたが、にぎわいと笑顔が戻った2日間でした。

 ウクライナから母親と避難してきたホンチャロヴァ・イリナさんも祭りに参加しました。

 イリナさんは、石巻に住んでいる息子夫婦の知人に勧められ、ウクライナの伝統料理を露店で提供しました。

 息子のヴィタリイさんはキュウリ、鶏肉、ヨーグルトなどが入ったオクローシカという冷製スープ、イリナさんは手作りチーズを具にしたブリンチキというクレープを作りました。

 用意した200食は次々と売れて大好評でした。

 「ウクライナが今、すごく大変な状況だと思うので、ちょっとでも貢献できればいいかなと思って。楽しみです、クレープおいしそうなので」

 ホンチャロヴァ・イリナさん「おいしいと思ってもらえればいいなと思っています。とてもうれしいです」

 祭りの2日目にイリナさんは生まれて初めて浴衣に袖を通しました。

 ホンチャロヴァ・イリナさん「(浴衣を着るのが)小さいころから夢だったんです」

 夢をかなえるために協力したのは、イリナさんが通う日本語学校の講師たちです。

 日本語講師横須賀栄美子さん「普段すごく笑顔でいるんだけど、心の中は毎日つらいって話するんですね。彼女が笑顔になることがあればいいなと思ってお手伝いをしてるんです」

 浴衣を着て向かった先は、石巻川開き祭りのフィナーレを飾る大漁踊りの会場です。

 感染対策のため、参加できるのは事前に登録した団体だけでしたが、イリナさんは主催者側の計らいで石巻市の職員のグループに入って踊りの輪に加わることができました。

 理解と協力に支えられ初めて経験した日本の夏祭りは、イリナさんにとってとても大切な楽しい時間になりました。

 ホンチャロヴァ・イリナさん「皆さんが踊りに参加していて、高揚感や幸せな気持ちを信じられないくらい感じました。とても気に入りました。すごいすごい、VeryVery」