上機嫌に踊るトランプ大統領。就任から100日「トランプ節」炸裂の演説をどう見るのか専門家に聞きました。
■就任100日で“自画自賛”
29日でトランプ大統領は就任から100日を迎えました。
演説の場所として選んだのはアメリカの自動車産業の中心地、ミシガン州デトロイトの郊外です。
トランプ大統領 「この美しい州に戻ってこられて本当にうれしい。自動車関連の仕事がたくさん増えている。数十もの企業がミシガンに戻ってきて車を作りたがっている。なぜか分かるか?我々の税制と関税のおかげだ」
演説には大勢の支持者が詰め掛けました。ただ、カメラを引いてみると、後ろの方では空席も目立っています。演説が始まる前にスタッフが椅子の数を減らす様子も見られました。
大統領への返り咲きから100日。何が語られたのでしょうか。
トランプ大統領 「私たちが今夜、この国の中心地に集まっているのはアメリカ史上、最も成功した政権の100日間を祝うためだ。これは大勢が言っていることだが、どの大統領よりも優れた100日だと言われている。しかもまだ始まったばかりだ。これからが本番だ」
「歴代政権の中でも最も成功した100日間」。トランプ大統領は大勢がそう言っていると言いましたが、誰がそう言っているかは明かしていません。
各社世論調査の平均値を見ると、支持率は就任直後こそ50%を超えていたものの、その後は下落。3月半ばには不支持率が逆転し、差は広がる一方です。
ちなみにABCニュースとワシントンポストなどが行った調査では、就任100日を前にした支持率としては戦後最低。CNNなどの調査でも過去70年間で最低だといいます。
トランプ大統領 「あいつらが何をやっているか知っているか?共和党員より民主党員に多く調査をしているんだ。数日間、確認をしたが民主党員にたくさん聞いて、共和党員からは少ししか聞かない。あいつらはトランプは44%の支持率しかないと言っている。それでも悪くないが、正当な調査なら60か70はあるはずだ。あいつらはインチキなやつらの集まりだ」
「世論調査は民主党員に多く質問している」「本来なら支持率は60か70%」。どちらも根拠は明らかにしていません。
■“トランプ節”炸裂 演説どう見る?
早稲田大学 中林美恵子教授 「まず100日の節目ということだが、大統領選挙の選挙演説とほぼ変わらなかったと思った。そしてこの100日間で何ができたかを自信たっぷりに語る様子は相変わらずのトランプ節」
「選挙演説とほぼ変わらない」。確かに、今回の演説でもジョー・バイデン前大統領や対抗馬になったカマラ・ハリス前副大統領の悪口は繰り返していました。
トランプ大統領 「『インチキ・ジョー』と『寝ぼけたジョー』のどっちがいい?世論調査をしよう!世論調査は腐っているが、この調査は本物だ。『インチキ・ジョー』か『寝ぼけたジョー』だ。どっちで呼ぶべきだ?『寝ぼけたジョー』か?それとも『インチキ・ジョー』か?カマラ、偉大な候補者だったな、素晴らしかった」
物価対策についてもアピールしていました。
トランプ大統領 「インフレ率はこの4年で最低水準に達した。そして先月にはパンデミック以来、最大の消費者物価指数の下落もあった。すべて100日で達成したことだ」
早稲田大学 中林美恵子教授 「大幅には下落していないと思う。ガソリン価格とかエネルギーは下落しているが、大幅と言って良いものかというところ。インフレの部分はそんなにうまくいっていないのにもかかわらず、トランプ氏はこういったことを豪語することによって人々がそう感じてくれるのではないかと期待を持っているのではないか」
中身で注目すべき点はあったのでしょうか。
早稲田大学 中林美恵子教授 「冒頭、自動車の話が出てきました。日本も、私たちにとって基幹産業が自動車ですから非常に気になるところなんですが、ミシガンのデトロイトという都市で演説をするというのを選んだのは、製造業をアメリカ国内に持ってくるのがトランプ氏のミッションであると主張したかったんでしょうね」
そのなかでは日本車に触れている部分もありました。
トランプ大統領 「ホンダの車がたくさん入ってきている。ここで作ってもいいんだ、日本で作ってほしくない。日本は好きだが日本では作ってほしくない、ここで作ってほしいんだ。中国にここで作ってほしいんだ。すべての国にここで車を作ってもらいたい。40年間、彼らにやられてきたことだ、それで干上がらされたんだ。今度はこっちの番だ」
早稲田大学 中林美恵子教授 「トランプ氏の頭の中には中国も日本も同列で、アメリカから製造業を奪った国々という認識で刻まれているのだなっていうのも、今回の演説のなかで明らかに感じた部分」
ちなみに支持率などを認めないのはなぜなのでしょうか。
早稲田大学 中林美恵子教授 「トランプ氏は絶対『負け』とか『間違い』とかを認めるというのは彼の辞書の中にはない。2020年の大統領選挙に負けた時にもずっとその後4年間、自分は勝ったと言い続けていたくらいの人。世論調査の数字が違って自分が正しいと主張するのは朝飯前の主張」