物価高を受けた経済対策として焦点になっていた消費税の減税について、政府は見送る方向で調整に入ったことが9日に分かりました。

■自民議員が減税申し入れも…政府は見送りへ

 8日は森山裕幹事長に…。9日は松山政司参院幹事長に…。自民党の議員が2日連続で“消費税減税”を申し入れました。

自民党 中村裕之衆院議員 「参議院議員のなかにも多くの人が食料品、軽減税率を減税すべきだという声があるんだと、多くの人からそういう意見があるというお話をいただきました。民のかまどから煙が上がっていない状況と私たちは見ています」

 自民党内では夏に選挙を控える参議院議員を中心に、消費税減税を打ち出すよう求める声が増えていて、69人の議員が減税に賛同しています。

 そうしたなか9日、政府が打ち出したのが「消費税の減税を見送る」方針です。

林芳正官房長官 「我が国の消費税は急速な高齢化等に伴い社会保障給付費が大きく増加するなかにおきまして、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられていることから、政府としてその税率を引き下げることは適当ではないと考えております」

加藤勝信財務大臣 「消費税率引き下げについては、高所得者や高額消費も含めて負担軽減がなされることとなるため、物価高の影響を最も受けている低所得者への支援という意味では効率性に乏しいということ」

石破茂総理大臣 「税率がどうなのか、期間がどうなのか、対象の品目はどうなのか四の五の言って、やらないということを言っているわけでは全くございません」

 3月時点では消費減税を否定していなかった石破総理。しかし財源の確保が困難なことから、減税を見送る方向に傾いたといいます。

石破総理(総理関係者への取材から) 「(周辺に対して)『消費税を触るのは難しい』」

■参院選で与党の足並みはそろうのか

 選挙公約に「消費税減税」を掲げる野党からは…。

立憲民主党 野田佳彦代表 「それぞれの政党が決めることですけれども、減税もやらない、一律給付も消えました。物価高対策、無策かということですね。無策でいいのかと問われるんじゃないでしょうか」

 一方、連立を組む公明党は、選挙公約に減税を選択肢の1つとしています。参院選で与党の足並みはそろうのでしょうか。

自民党参院幹部 「仮に消費減税をやらないとしても、このまま何もやらないわけにはいかない。減税に代わる大きな政策は打たないといけない」

政治ジャーナリスト 田崎史郎氏 「自民党がこうした方針を固めているのは公明党にも内々に伝わっていて、公明党は消費減税という形ではっきりと公約に書くことはないだろうと思います。自民党はいただいた消費税を基に社会福祉を充実させていきますという主張をしていくことになるだろうと思います」

 政府は減税を見送る方針にもかかわらず、来週から消費税に関する勉強会が開かれます。

自民党 小野寺五典政調会長 「物価高対策とすれば、また別な考え方もあるのかなと思っています。いずれにしても消費税の議論、これから自民党税調でもしっかり意見交換、勉強会をしていくということですから、その方向について私どももしっかり受け止めていきたいと思っています」

 勉強会の狙いについては。

田崎氏 「自民党の税制調査会で、消費税の歴史とかきちんと説明しますから、そのうえで意見を言ってくださいと。結果的に(減税派の)ガス抜きの役割を果たしていくんだろうと思います」

(「グッド!モーニング」2025年5月10日放送分より)