人手不足が深刻化し公務員の成り手不足が懸念される中、宮城県の市町村で働く職員が学生たちに仕事内容を紹介するセミナーがありました。

 セミナーは3月に、卒業予定の大学生や高校生らを対象に宮城県庁で行われました。

 講師を務めたのは、県内の市町村や消防など34団体の現役職員たちです。

 それぞれ映像を使ったり、質問に答えたりして公務員の仕事をPRしました。

 岩手県大船渡市で発生した山林火災に派遣された消防士が身に着けたという防火服は、実際に着て重さを体験してもらいます。

 高校生「重いです。おんぶされている感じです。この体験で結構魅力を感じて、9月の試験を頑張ろうと思いました」

 専門学校生「公務員一択です。県民の方々と、安心安全な地域づくりに貢献したいと考えているからです」

 県市町村課・鴫原啓倫課長補佐「1人でも多くの方に、自治体職員、市町村等職員として県内で働くこととか、地方公務員として地域のために働くことに対する興味関心をですね、より一層高めていただけたらなというふうに考えております」

 セミナーは2025年度中にもう1回行われます。

 深刻な人手不足で採用活動は、売り手市場とされ、市町村だけではなく宮城県も人材確保に苦労しています。

 過去10年間の宮城県職員の採用試験の倍率は、2024年度は3.2倍、10年間で4.1ポイントも下がり、過去最低となりました。【

 学生の数も減ってきて、民間企業との間で学生の取り合いになってます。

 こうした現状に危機感を抱いた宮城県は、職員確保緊急プランを策定し、職員の確保に力を入れています。

 2025年度は特に学生への支援を手厚くし、応募者が増えるよう取り組んでいます。

 具体的には総、合土木や農業などといった技術職のインターンシップや採用面接の際に交通費を補助し、県外の学生が志願しやすい環境を整えるということです。

 採用試験にも変化があります。

 2025年から設けられたのが、一部の技術職で実施する早期枠です。通常は6月から試験を始め、8月に合格発表ですが、多くの民間企業に比べて遅いため、志願者離れにつながっていました。

 早期枠は2カ月ほど前倒しして試験を進め、民間企業でも採用している適性検査SPIを導入するなど、民間企業との併願がしやすくなっています。

 更に2024年度からは、オフィス環境の整備にも着手し、テーブルやイスを新調、会議がしやすいようなレイアウトにするなどして、働きやすい環境を作りました。

 このほか、現在は対象が限定されている週休3日制をすべての職員向けとすることや、やむを得ない事情で退職した職員を即戦力として再雇用する、カムバック制度などの導入も検討しています。

 こうした取り組みが、人材確保につながるか注目です。