またしても週末の雨。東京では、これで10週連続です。強い風と雨は、数十万人が来場する都内の花火大会を直撃。去年は雷雨で中止になったため、今年は季節を変更して開催されましたが、果たして…(5月31日OA「サタデーステーション」)

■「足立の花火」2カ月前倒しの開催は?

一方、東京では、真夏の一大イベント「花火大会」を2か月も前倒しで開催するという初の試みが。「足立の花火」は去年と同様、“大波乱の1日”となりました。午前8時の荒川河川敷。

報告・手塚慶二朗ディレクター 「打ち上げ開始までまだ10時間以上あるのですが、すでに、たくさんのブルーシートを広げて、場所取りをされている方がいらっしゃいます」

どんよりとした空の下、場所取りをしていた大学生の2人…。

場所取り中の大学生 「雨が降らなければいいなって…」

しかし、その数分後には…

場所取りに来た人 「やばいです。だいぶ(雨が)強いです」

時間の経過とともに、雨は強くなっていきます。これで東京は、10週連続で週末に雨。花火大会の会場に、文字通り、暗雲が立ち込めます。

■おととし70万人超 去年は直前に中止

例年、1万3000発の花火を打ち上げている「足立の花火」。今年は千住宿の開宿400年を記念し、「せんじゅ」にちなんで、1010発を追加で用意しました。しかし、脳裏をよぎるのが、去年の“悲劇”です。それは、打ち上げ直前のことでした。

会場アナウンス(去年7月「足立の花火」) 「本日の花火大会は中止と判断させていただきました」

“ゲリラ雷雨”の直撃により、開始25分前に中止に…。およそ40万人がそのまま帰路につきました。さらに…

取材ディレクター 「あ、警備員の方ですかね。気分が悪くなって倒れている方がいるようです」

熱中症で警備員が救急搬送されました。この日、都心の最高気温は35.8℃。天候と熱中症。これらのリスクが一番低いとして選ばれた日程が「5月末」でした。ところが…

■今年は強風・雨・4月上旬並み寒さに

報告・仁科健吾アナウンサー 「土手に設置してあるテントが風で倒されました」

午後1時ごろ、土手の上に招待者のために設置されていたテントが強風で倒れました。この日、午後5時時点での都心の最大瞬間風速は12.7メートル。都内では根元から折れた木が道路をふさぎ、一時交通規制がしかれた場所もありました。花火会場では、この強風の影響により、「ナイアガラ」の準備ができず、午後3時に「ナイアガラ」の演出の中止が発表されました。その30分後には、テントの解体も開始。

千葉から来た観客 Q.どうですかこの風? 「やばい、でもまだ5時間あるからそれを信じて」

神奈川から来た観客 「中止なるのかちょっと心配ですね。このまま(風が)続くと…」

報告・仁科健吾アナウンサー 「場所取り用のブルーシートが風で飛ばされてしまっていますね」

完全に飛んで行ってしまったシートも。この状況でも、去年のリベンジに燃える男性もいました。

去年も見に来た人 Q去年は中止になったじゃないですか? 「そうなんですよ、ここにいました」 Q同じ場所? 「同じ場所で。絶対大丈夫です。雷がなければ大丈夫です」

しかし関東では、午前中から雷が相次ぎ、花火会場にもその雷鳴が届くことがありました。さらに、午後5時時点での都心の最高気温は16.7℃で、4月上旬並みの気温に。花火打ち上げの3時間前、会場に向かう途中で売っていたのは“冷やしキュウリ”です。

冷やしきゅうりを販売していた人 Q全部で何本? 「250本ありますね。めっちゃ売れました去年は、きゅうり完売しちゃっていたんですけど、今年はやばい」 Qやばいというと?「いやまだ何も売れていない」 「寒さの影響か、会場に続く道に人はまばら」 Q300円→200円になっていると思うが 「去年までもうちょっと高かったんですけど、今年はこの天候を含めて「寒いだろう」と(値下げしました)。もうこれ売れなかったら『きゅうりパーティ』ですからね」

■屋形船&訪日客も開催に期待と不安

一方、その頃、寒さや混雑とは無縁だったのが屋形船です。打ち上げの4時間前に、およそ12キロ離れた船乗り場から出航。利用客はA5ランクの和牛や揚げたてのてんぷらを使用した“贅沢懐石料理”を食べながら会場へ。料金は1人あたり3万8500円ですが、用意した6隻・280人の予約がほぼ完売しました。打ち上げの2時間前に無事、会場に到着しましたが、気は抜けません。去年はこの待機中に中止が決まり、Uターン。払い戻しもありませんでした。

屋形船「晴海屋」船頭 安藤慎一さん  「去年も私も船に乗っていて、(中止の)アナウンスをしなければいけなかった時の苦しさは、いまだに覚えてるので…」

一方、花火会場から5キロほど離れた浅草の浴衣レンタル店には中国人の学生グループの姿が…

浴衣をレンタルした中国人観光客 「花の模様が、伝統的な中国人の好みにピッタリです」

今回、観光で初めて日本を訪れた女性たち。もちろん「日本の花火」も初めてです。

浴衣をレンタルした中国人観光客 「日本に来た時に偶然にも花火大会のタイミングだったのです。花火大会が中止にならないで欲しいですね」

期待と不安が入り混じる中、浴衣姿で、浅草を観光する中国人観光客。その後、秋葉原を散策してから、会場に向かうといいます。

■開始2時間前に発表「強風で中止」

打ち上げ開始まで2時間を切った、午後5時30分。その瞬間は突然やってきました。

場内アナウンス 「本日の足立の花火は強風のため中止となりました」

突如、中止のアナウンスが流れると会場中にどよめきが起こりました。足立区によると強風によって花火の燃えかすが民家へ落下する可能性が高いため中止と判断したとのことです。

報告・仁科健吾アナウンサー 「駅前の掲示板にではですね、足立の花火は中止しますという風に表示されています。会場のほうから駅のほうへと、どんどん人が返ってきます」

一方、レンタルした浴衣を身にまとった中国人観光客グループは、秋葉原で「中止」の一報を知りました。

浴衣レンタルした中国人観光客 「悲しいです。とても悲しい。でも、日本には他にもやる事はたくさんあります」

このあと、一行は引き続き、秋葉原でのショッピングを楽しんだといいます。

■「まさか2年連続」乗客にお詫び

屋形船では、船頭の安藤さんへインタビューしていた時に、中止の知らせが届きました。すぐさま船内のお客さんに、「中止」を伝えます。

屋形船「晴海屋」船頭 安藤慎一さん  「花火大会は中止になることが発表されました」

屋形船の乗客 「また来年か再来年に、屋形船でリベンジしたい」

中止発表から30分後…。

報告・鈴木闘匠ディレクター 「シートや荷物などを回収しに来る方たちがたくさん見えています」

花火を見る予定だった人 「来年、来られたらいいですね」

去年のリベンジに燃えていた、あの男性は…

去年も見に来た人 「まさかの2年連続(中止)なんですけど…。ガッカリです。ガッカリの一言です…」

「足立の花火」は延期・順延もないため、粛々と片付け作業が行われていました。