宮城県気仙沼市は、28年連続日本一のカツオ水揚げ量を誇りますが、2025年は不漁により、記録が途絶えかねない状況となっています。

 漁船が気仙沼港に入港しカツオを水揚げしますが、例年ほどの活気がありません。

 気仙沼港の7月末現在のカツオの水揚げ量は1416トン。毎年トップを争う千葉の勝浦港の5689トンに4倍以上の差をつけられ、鹿児島港の1579トンにも及びません。

 カツオの水揚げは、シーズン前半は勝浦港がリードし、三陸沖に群れが北上する7月から8月にかけ、気仙沼港が逆転するというのが例年のパターンです。

 ところが、2025年は気仙沼港への水揚げがなかなか上向きません。漁師たちからも心配の声が上がります。

 第18清流丸渡邊清吾漁労長「例年に比べるとやっぱり少ないですね。少しカツオの群れが見え出したけど、範囲が狭いので今のところ水揚げは少ない」

 第88佐賀明神丸森下靖漁労長「こっちのカツオが小さすぎるし産卵が北になっているのか。南の方では3kg・4kgの魚がすごい大漁なんですよ。気仙沼に秋以降も大きい漁があるかどうか。僕ら自身は、秋以降にカツオがどれだけ残ってくれるかそっちの心配ですね」

 カツオの不漁の影響は様々なところに及んでいます。

 気仙沼では、お盆の時期地元の人にとっても観光客にとってもカツオは欠かせません。

 気仙沼市内鮮魚店の買い物客「お世話になった人に贈る」「色つやが良くて食べてみたくて今買った。帰る途中て食べてしまう」  しかし、品薄で価格は例年の2倍ほどになっている上、小さいサイズの物が多く客の要望になかなか応えられないと言います。

 気仙沼お魚いちば小野寺浩之事業部長「もうちょっと魚体が大きくて更に水揚げが増えれば、ある程度安く提供できるのでそれを期待したい」

 2025年は、気仙沼にカツオの一本釣り漁法が伝わって350年の節目の年です。それだけに、関係者からは何とか2025年もカツオの水揚げ日本一を達成したいという声が聞かれます。

 気仙沼漁協臼井靖参事「お盆過ぎに後半戦がありますので、なんとか漁に恵まれて29年連続日本一は達成できたら良いなと思いますね。現状は厳しいのかなと思いますけど、お盆過ぎに戻りガツオになってきますのでそこに期待したいなと思いますね」

 漁業に関する情報を分析している漁業情報サービスセンターによりますと、カツオの水揚げは12月頃まであるのでまだ逆転の可能性はあるということです。

 カツオの水揚げ日本一は、漁業の街、気仙沼を象徴する市民の誇りですからぜひ、今年も達成してほしいですね。