今月から市街地でもクマに発砲できる改正法が施行されました。「社会貢献ができる」と意気込む人もいる一方、経験があるハンターが少ないなどの課題もあります。

 全国各地で相次ぐクマの目撃。先月には北海道羅臼岳で男性がヒグマに襲われ、死亡しました。

 野生動物が人間の生活を脅かす事例が増えていることを受け、国は。

浅尾慶一郎環境大臣 「地域住民の安全確保など一定の条件下で、市町村長がクマなどの銃猟をハンターに委託して実施させる」

 今月から市街地でのハンターによる発砲を認める緊急銃猟が始まりました。地元の猟友会は人が住む場所でも安全に発砲できるよう、準備を進めています。

 狩猟免許の所持者数はジビエ料理ブームなどで増加傾向にあり、埼玉県の講習会にはおよそ40人が集まりました。

参加者 「(緊急銃猟で)社会貢献できる場が広がったのではないか。緊張感と責任感を強く感じる」

 意欲があるハンターが増える兆しがある一方で、課題も。

埼玉県猟友会 大隅賢一講師 「経験値が高くていくつもクマ撃っていないと、なかなか(市街地での発砲は)難しい。銃を使って捕獲する立場としてはまだ不安」

 万が一、人や住宅への被害が出た場合に、責任の所在はどうなるのか不安視する声です。

 北海道ではクマを駆除した男性が建物の方向に発砲したとして、猟銃を所持する許可を取り消されました。

許可を取り消された池上治男さん 「安易に駆除行ってくれと頼むことはできない」

 こうしたケースを受けて猟友会は、委託についてはハンターの判断で断ることも想定されるとしています。

 環境省は緊急銃猟の責任は原則として実施者である市町村が負うとしたうえで、ハンターに過度な負担がかからないように対策を講じ、周知に努めるとしています。