9日に初めて発表された「北海道・三陸沖後発地震注意情報」について、この情報によって防災対応を取るべき地域で実際に対応をした人は限定的だったことが東京大学の調査で分かりました。

 東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センターの関谷直也教授らは北海道・三陸沖後発地震注意情報について、全国の20歳から69歳の9400人を対象にインターネットを使った調査を行いました。

 9日に「注意情報」が発表される前にこの情報を知っていた人は、防災対応を取るべき地域に住んでいる人で「具体的に知っていた」「見聞きしたことがあった」を合わせても35.6%にとどまり、防災対応を取らなくてもいい地域に住んでる人では、さらに下がって22.3%でした。

 防災対応を取るべき地域の人で注意情報を見聞きした人に情報の入手手段を複数回答で尋ねたところ、「テレビ」が82.2%と突出していて、「ホームページやインターネット」が20.1%、「アプリの通知」が14.7%、「ラジオ」「新聞」はそれぞれ6.8%などとなりました。

 注意情報を聞いてからその後にどのような行動を取ったかについては「水や食料などの備蓄を確認した」が27.7%、「家具の転倒防止を確認した」が16.1%、「家族との連絡方法を確認した」が11.4%で、「特に何も行動はとらなかった」という回答も19.7%あったことから、東京大学は「行動変容は限定的」と分析しています。

 また、北海道・三陸沖後発地震注意情報について聞いたところ、「名前が長すぎると思う」と答えた人が26.5%、「後発地震の意味がよくわからない」とした人は17.2%いましたが、否定的な意見は少なかったということです。

 調査を行った関谷教授らは「最悪の場合は19万9000人の被害者が出るという想定を考えれば、確率が低くても活用する意義を改めて考えなくてはならない」「後発地震注意情報に備えるのではなく、北海道ならびに東北地方の太平洋沖で発生する地震・津波に備えることが重要」などと指摘しています。