観光客からも人気の島にイノシシがおよそ300頭生息し、被害も出ています。もともといないはずの島でなぜ繁殖しているのでしょうか。

■300人の島にイノシシ300頭

 箱わなに入っている1頭のイノシシ。柵に突進します。

 猪突猛進の言葉の由来ともなっている、この激しく勢いのある動き。

 実は、この場所にイノシシは「いなかった」。

 番組はかつてイノシシが居なかったと言われているある場所を取材しました。

 向かった先は淡路島の南、およそ4キロの場所に浮かぶ沼島です。

 周囲およそ10キロ、人口300人ほどの小さな島は名産のハモなどの海の幸や雄大な自然が観光客からも人気です。

 島で最初に出会った島民に話を聞くと…。

80年以上島に住む人 「足跡がある、見てみいや」

 グラウンドにはくっきりとイノシシの足跡が残っています。

80年以上島に住む人 「畑を作っている人が、さつまいもを植えていたら皆掘り起こして『誰か取っていってる』って言った。(当時)イノシシがいるとは思っていなかった。畑が荒らされるようになってから『イノシシは島へ来ているな』と」

 80年以上この島に住む島民も、以前は島でイノシシの姿は確認していなかったといいます。

 およそ300人が暮らすこの島に、一体何が起きているのでしょうか。

■未生息のはずが なぜ大繁殖

 この地で長年イノシシの対応にあたる南あわじ市の山見さんを取材すると…。

南あわじ市沼島市民交流センター 山見嘉啓さん 「(Q.イノシシが作った道?)そうです」

 いたるところに獣道が…。イノシシの被害は島全体に広がっていました。

山見嘉啓さん 「皮だけ残して実をきれいに食べる」

 旬を迎えた食材も食べ尽くされ…。

山見嘉啓さん 「(Q.空洞ですか?)そうです、ここまで掘って」 「(Q.なんのために?)餌(えさ)を求めて」

 島の舗装されている道路の下も、イノシシに掘られたことで大きな空洞ができてしまっています。

 南あわじ市によると、沼島では2018年に初めて箱わなでイノシシを捕獲。その後は増え続け、昨年度は過去最多の149頭を捕獲しました。

 先週も深夜にわなの近くをうろつく何頭ものイノシシの姿が…。翌朝確認すると、イノシシが1頭入っていました。

 かつてはいなかったこの島で多くの被害をもたらしているイノシシですが、どうやってこの島に来たのでしょうか。

山見嘉啓さん 「(Q.どうやって沼島に?)対岸の淡路島の灘地区から泳いでやってきている。沼島の食料のいいにおいがして、鼻のいいイノシシですから」

 山見さんによると、イノシシは沼島へ来るために淡路島の南側からおよそ3キロを泳いできているといいます。

 実際に泳ぐイノシシの映像。水面に顔を出し、前足を器用に使って泳いでいる様子が記録されています。

 そして増え続けたイノシシの数は…。

山見嘉啓さん 「(Q.人口とイノシシの割合は?)ほぼ同じですね、300頭。もうイノシシの方が多くなってきている」

 島の人口300人に対し、イノシシも300頭以上確認しているといいます。

山見嘉啓さん 「捕獲数を増やして、根絶は難しいが、いったん多く捕獲をしてリセットしたい。飽和状態になって(頭数が)増えたら住宅に下りてきて、最後は人身事故も起こると思う」

 島では、当初は3台だった箱わなを今では16台に増やしているといいます。