東京の神田川を泳ぐクロダイの群れ。中には40センチを超える大物も釣り上げられていました。そもそも、なぜクロダイが川にいるのでしょうか。

■取材中に40センチ超の大物も

 東京・台東区を流れる神田川には黒い魚の影が次々と川を泳いでいきます。

 東京湾の魚を40年以上研究してきた工藤さんに謎の魚の正体を聞くと…。

東京湾の魚類に詳しい工藤孝浩さん 「間違いなくクロダイ」

 28日、クロダイの群れを確認したのは神田川に架かる柳橋の近くです。

 川沿いで60年以上店を営む男性も驚きを隠せません。

柳ばし小松屋 秋元治店主 「私が生まれてこの方こういう光景は見たことがない。気が付いたのは2、3日前」

 専門家によりますと、クロダイ自体は元々、東京湾の周辺に生息する魚だといいます。

東京湾の魚類に詳しい工藤孝浩さん 「元々、群れを作って回遊する魚ではありません。隊列をなして大群で泳いでいる光景は今まで見たことがない」

 さらに、異変は神田川だけではありません。

釣り人 「(Q.何を狙っている?)クロダイ」

 神田川の本流の隅田川にはクロダイを狙う釣り人の姿が…。

 東京都によりますと、周りに迷惑を掛けなければ釣ること自体に問題はないそうです。

 すると、釣り針に食い付いたのは胸びれが大きく、横から見ると平べったい形。その特徴から体長40センチ余りのクロダイと確認できました。

 記念写真を撮ると、釣ったクロダイを川に放します。

■都内の川に“クロダイ群れ”なぜ?

 本来海にいるクロダイが、なぜ東京の川に集まっているのでしょうか。

 専門家によりますと、理由は2つあるといいます。まず1つ目が…。

東京湾の魚類に詳しい工藤孝浩さん 「東京湾の環境変化がとても大きな現象。気候の温暖化。加えて黒潮大蛇行。塩分が上昇し透明度が上がっている」

 1つ目の理由が東京湾の環境が変わったことです。

 温暖化や長年続いた黒潮大蛇行の影響でクロダイの餌(えさ)となる貝などが激減したといいます。

 そのため…。

東京湾の魚類に詳しい工藤孝浩さん 「(Q.餌を求めて川の方に渡って行っている?)そうです。新境地を目指して」

 そして、2つ目の理由がクロダイの強さです。

東京湾の魚類に詳しい工藤孝浩さん 「東京湾の環境変化が起こると当然、昔から東京湾に暮らしていた生き物がそこで暮らせなくなってくる。特に温暖化は海藻が育ちにくくなりますし、酸素がなくなるからダイレクトにそこにいる生き物を殺してしまう。クロダイ自身は非常に適応力が強いタフな動物」

 こうした変化が都内の川で見られる異例の大群につながっている可能性があります。

 一方で、気になるのは味です。

 クロダイは関東ではあまりなじみがありませんが、西日本では「チヌ」とも呼ばれ、刺し身や煮付けなどで親しまれています。

 では、東京の川で釣れたクロダイは食べられるのでしょうか。

東京湾の魚類に詳しい工藤孝浩さん 「有害物質が入っていないか、そういう心配もあるでしょうし、化学物質などちゃんと調べる必要があると思う」

 どうしても釣ったクロダイの味が気になる場合、鮮魚店などに持ち込んでプロに判断してもらうよう勧めていました。