東京電力福島第一原発の処理水放出について、東京電力は早ければ10月上旬にも2回目の放出を始める予定です。処理水の放出により価格は下がり販路が縮小した三陸産のホタテですが、追い打ちをかけるように猛暑の影響が生産者を直撃しています。

 気仙沼市のホタテ養殖業者、小松博文さんです。
 例年であれば夏に出荷する分の水揚げ作業を終えている時期ですが、3分の1のホタテが水揚げできていません。

 小松博文さん「8月に売りたかったですね。9月の頭くらいまでには売り終わるだろうと思っていたんです。ただその時にアルプス処理水の放出ということで、出荷が全然ストップしちゃったもので、私たちは今混乱している状態です」

 中国は、原発事故の直後から宮城県産の水産物の輸入を停止する措置を続けていますが、今回の措置でそれが全国に拡大しました。 特に、単価が安い北海道産のホタテがこれまで以上に国内市場に流れ込んだことで三陸産の注文量が減り、小松さんは予定していた出荷量の9割近くが出荷できていない状況です。

 買取価格は、5月には1キロ当たり550円でしたが処理水放出後は400円に下がったままで、この価格では月の売り上げが500万円近く下がります。
 この状況に猛暑の影響が追い打ちをかけています。

 小松博文さん「ホタテが死滅しているわけなんですよ。貝の中がきれいですよね、という事は最近死んだってことなんですよ。これは水温のダメージなんです。今でだいたい24度ぐらいなんですよ。この時期は21度とか20度になるのが普通なので、(死滅の割合は)ざっくりですけど1割から2割ですかね」

 こうした中、東京電力は早ければ10月上旬にも2回目の放出を行うとしています。

 小松博文さん「(補償について)3度ほど東京電力とホタテ部会は放出後に話し合っていますが、私たちの予想をはるかに下回った額の提示ということで私たちはどうしてもそこを譲ることは今のところ出来ません」