けがや病気などで命を落としたり殺処分されたりする野良猫を少しでも減らそうと、避妊去勢手術で繁殖を防ぐTNR活動です。

 けがをしたり衰弱したりした野良猫や親猫から育児放棄された子猫を保護して収容する仙台市の動物管理センター、アニパル仙台で例年7月から12月にかけて年に30回ほど開かれる猫の譲渡会が1カ月ほど早く6月に開催されました。
 アニパル仙台釜谷大輔所長「貰い手というか希望者がなかなか来ないので、今回臨時で6月に開催して譲渡が1頭でも進むように取り組みたい」

 新たな飼い主とめぐり合える猫もいますが、収容された際にけがや病気の状態が悪かった場合は殺処分となります。2023年度にアニパル仙台に収容された猫は255頭で、このうち43%に当たる109頭が殺処分されました。
 不幸な猫を少しでも減らそうと仙台市は猫の避妊去勢手術を推奨していて、仙台市獣医師会を通じて手術費用を一部助成しています。
 アニパル仙台釜谷大輔所長「不妊去勢手術すると望まれない命が外で生まれなければ、アニパル仙台に収容される数も減り処分も減っていくのかなと思っています」

野良猫などを保護して譲渡会

 アニパル仙台の役割は、本来けがをしたり育児放棄されたりした猫の保護で、不幸な猫が増えないように現場で活動しているのは、民間の有志たちです。愛すべき野良猫の会の代表、佐藤美紀さんは20年近く野良猫や多頭飼育崩壊などにより劣悪な環境下で生きる猫たちの保護や、避妊去勢手術に取り組んできました。
 愛すべき野良猫の会佐藤美紀さん「震災で行き場を失う猫がすごく多くて、何か自分にできないかって思って入り込んだらどっぷりはまっちゃった」

 佐藤さんたちが力を入れているのが、TNR活動です。T=トラップ捕まえる、N=ニューター避妊去勢手術をする、R=リターン元居た場所へ戻すという活動で野良猫を減らすのではなくこれ以上増やさないようにするための活動です。

民間有志のTNR活動

 一方で、けがや病気などで外では生きていけない猫を保護して月に2回開く譲渡会で飼い主を探してきました。4月に譲渡会を通じて保護猫を引き取った、仙台市太白区の中村さん夫妻です。
 中村隆さん「行き手が無かったら殺処分になるような子の命を助けてあげたほうがいいかなと思って。迎えた以上はちゃんと幸せになってくれたらいいなと思ってますし、そういう猫が増えればいいなとは思っていますね」

 しかし、飼い主が見つかる保護猫はほんのわずかです。愛すべき野良猫の会の佐藤さんの家には引き取り先が決まっていない猫が80頭もいます。
 愛すべき野良猫の会佐藤美紀さん「TNRは誰よりも動いている、それは自信あるんですけどちょっと体がついていかない」

 この日は仙台市で捕獲活動です。近所で見掛ける子猫がかわいそう、何とかしてほしいという依頼です。依頼された地区に到着し、早速捕獲器を設置すると現場の家主から、猫が掛かったとの知らせが届きました。捕獲されたのは黒猫で、目当ての野良猫親子ではありませんでしたが、やはり近所で見かけることが多い猫でした。

野良猫の保護活動

 翌朝、捕獲した黒猫に去勢手術をするため、動物病院へ向かいました。
 愛すべき野良猫の会佐藤美紀さん「多分、生後8カ月ぐらい。この人は元気に地域に浸透するよ」
 手術費用のうち雌は9000円、雄は4500円、仙台市獣医師会から補助を受けることができますが活動にかかる費用は全て自己負担です。それでも、佐藤さんはこれ以上不幸な命が産まれないよう活動を続けています。
 愛すべき野良猫の会佐藤美紀さん「地域まるごと町内会もみんな含めて命の大切さを教えて貰って、繁殖させない活動がもっともっと浸透してくれればいいなとしか言えない」