都内で2日に開催された花火大会。台風の影響もなく無事、開催できると思ったら、今度は猛暑。天気に振り回された花火大会の舞台裏を取材しました。(8月2日OA「サタデーステーション」)
■津波&台風で大打撃の海レジャー
報告・矢谷一樹ディレクター 「午前5時過ぎの大洗です。先ほどから雨と風ともに強くなってきており、波も高く荒れています」
2日の明け方、関東に最接近した台風9号。東北地方にも大雨をもたらし、仙台市内では冠水した場所もありました。この台風と先日の津波によって、まさかの4日連続で閉鎖に追い込まれたのは、茨城県大洗町の海水浴場です。海水浴を諦めた人たちが楽しんでいたのはバーベキュー。
東京から来た人 「すごく悲しいです。1週間 泳ぐのを楽しみにしてきた」
しかし、海から近いこの施設でも4日連続でキャンセルが相次いでいました。
マルトBBQ 遠峰孝枝さん Q2日のキャンセルは? 「160人」
この日だけで、およそ50万円の損失が出たといいます。さらに、まもなく新たな台風が発生する見込みで、3日に関東に接近する恐れもあり、波は高い状態が続きます。
マルトBBQ 遠峰孝枝さん 「今からが一番の書き入れ時。お盆は平日の毎日、満席近く(予約が)入っているので、そこに本当に台風が来ないことを願うばかりです」
■台風に暑さ…翻弄される花火大会
台風は、夏の風物詩も翻弄しました。
報告・田中昌貴ディレクター 「現在午前9時を過ぎたあたりですが花火会場にはすでに場所取りのブルーシートがいくつも敷かれています」
毎年50万人以上の観客が集まるといういたばし花火大会。 打ち上げ10時間前、開催されるかわからない中、準備を進める多くの人が。
来場客 「(花火大会開催)できるかわからなくて数日間不安だった」
午前7時から場所取りをする家族 「心配もあるんですけど予報では晴れるっぽいのでそれまで待ってみようかと」 「花火大会楽しみだから、夜までは暑いけどね、待つんだよ。花火大会」
一方こちらは、花火クルーズを運航している会社。1ベンチシートで3万5000円、出航前に花火大会が中止となった場合は、全額返金の対応をとります。
株式会社ジール クルーズ事業部 橋本一作統括部長 「今週はどうなっていくかっていうところで、(台風の)進路を毎日毎日見て…今日は問題なく行けるであろうと信じています」
開催の可否が発表される午前10時。
ジール クルーズ事業部橋本一作統括部長 「(HPに)本日予定通り開催しますと出ましたね。嬉しいです正直、ほっとしております」
午前7時から場所取りをする家族 「予定通り開催するみたいです。良かったです、準備した甲斐があった」
■関東でも今年初の40℃超 花火大会の舞台裏
開催は決定したものの、来場客に追い打ちをかけるのは台風が過ぎ去った後の猛暑です。 全国的に危険な暑さとなった2日。関東では今年初めて40℃以上を観測しました。観測史上最高の気温を記録したところも多く、全国284地点で猛暑日に。東京都心では4日ぶりの猛暑日となりました。
花火大会の会場で多くの人が利用していたテント。許可を得て、サーモカメラで撮らせてもらうと…テントの屋根や男性の体の部分が、50℃近くの高い温度を示していました。
報告・田中昌貴ディレクター(午後3時ごろ いたばし花火大会) 「当日券販売まであと1時間あるんですがすでに行列ができています」
先頭部分には日よけのパラソルが設置されているものの、それを超える行列ができていました。 同じく行列ができていたのは、会場に設けられたキッチンカーです。本来なら午後4時からの営業でしたが、この暑さを受けオープンを前倒しました。冷たいものの中でも飛ぶように売れていたのは、冷やしパイン。普段の倍近くを準備したといいます。
店員 「花火大会で暑いので売れますね、冷たいのは。売れ行きはめちゃくちゃいいです、絶好調です」
対岸にある埼玉県戸田市の花火大会と同時に開催される『いたばし花火大会』。近くの駅や観覧席の周辺はこの人で溢れていました。 そして迎えた打ち上げの時間。川を挟んで両岸から、合わせて1万5000発の花火が打ちあがります。目玉は都内の花火大会では最大となる「尺五寸玉」です。400メートルの高さまで打ちあがる「大輪の花」が、荒川の上空に咲き誇りました。フィナーレは全長は300メートルにおよぶ「ナイアガラの滝」です。台風9号によって開催が危ぶまれましたが、午後8時半、すべての演目が終わると会場からは拍手が巻き起こっていました。
■平年の400分の1の雨…酷暑と水不足が重なる上越市
報告・仁科健吾アナウンサー 「日差しが照り付ける中で、みなさん給水スポットに並ばれています」
2日の最高気温は34.6℃。新潟県上越市は、3週間連続の真夏日に深刻な水不足も重なる事態となっています。
給水に来た市民 「5人家族なので洗濯の量が多くて」 Q洗濯しないわけにはいかない? 「そうですね、汗を絶対かいちゃうんで」
水不足の原因は記録的な渇水です。上越市高田の7月の降水量はわずか0.5ミリ。平年の400分の1以下でした。
報告・仁科健吾アナウンサー 「こちら正善寺ダムは例年であれば水がかなり張っているそうなんですが、今見てみますと斜面がむき出しの所もありますね。斜面に草が生い茂っている箇所もあります」
上越市内に水を供給するダムの一つ、正善寺ダム。例年なら貯水率は80%台ですが、2日は11%台まで下がっています。
アナウンス 「これまで以上に徹底した節水の取り組みを強くお願いします」
■酷暑&プール休止 夏休み中の子どもの遊び場は
節水対象区域に住む家族は、除湿器に溜まる水さえ惜しい状況だといいます。
節水対象区域に住む家族 「エアコンの排水もあるじゃないですか?あれも何か使えないかな、溜める方法ないかなとか…」
上越市では、住民の半数以上となるおよそ10万人に、普段の40%以上の節水が求められています。ひと家庭で1日あたり200リットル以上です。さらに頭を悩ませているのが、夏休中の子ども達の遊び場所。
節水対象区域に住む家族 「外で遊ぶっていったら水遊びぐらいしかできなかったところに、水遊びもできなくなっちゃって」
市内のプールなども節水の影響で、今週から利用を休止している状況です。小学5年生の息子は、どうしても家でゲームをする時間が長くなってしまい、4才の娘も、おままごとやカードゲームで遊ぶことが大半だといいます。
節水対象区域に住む家族 「お盆期間中の断水はないと聞いているんですけど、ただその先、本当に断水になった時に、経験が無いのでどうしていいのか…」
そんな子どもたちのために、2日に開かれたのが、上越市が主催するワークショップです。賑わっていたのは、金属にカラフルなメッキ加工を施す体験。徐々に色が変わっていきます。
参加した子ども 「きれい」「パパが喜んでくれたら嬉しい」
保護者 「家にずっといるのもあれなので、こういった所があると気晴らしにもなるし」
使っている水は、前日に市の職員が、節水エリア外の給水スポットから運び入れたものでした。
上越市 文化振興課 上村薫係長 「お子さんも楽しみにされているイベントなので、できるだけイベントは成立させつつ、節水にも配慮した形で行いたい」
上越市は、消雪用の井戸水を浄水場に引き込むための配管工事を進めるなど、対策を急いでいますが、節水要請を解除するめどさえ、立っていません。