終戦記念日を迎えた8月15日、東京で行われた全国戦没者追悼式には、遺族や関係者が参列し、戦争で命を落とした人々を悼んだ。この日の式辞で石破総理は、「戦争の惨禍を決して繰り返さない。進む道を二度と間違えない。あの戦争の反省と教訓を今、改めて深く胸に刻まねばなりません」と述べた。さらに総理は、戦争体験の風化を強く戒めるように続けた。「不戦への決然たる誓いを世代を超えて継承し、恒久平和への行動を貫いてまいります」。総理大臣の式辞に「反省」という言葉が盛り込まれたのは、2012年以来13年ぶり。石破総理はまた、戦後80年に際して、発表に意欲を見せるメッセージについて言及し、「今までの談話というものを踏まえた上で、そこにおいて、提起をされているもの、なお我々が考えていかねばならないもの、そういうものについて申し上げる、というようなことも1つの意義かと考えております」と語った。
石破総理の進退問題が焦点となる中、時事通信が8月8日から11日に実施した最新の世論調査によると、石破内閣の支持率は27.3%と前月から6.5ポイントの急上昇を記録した。次期総理にふさわしい人物を問う設問では、1位の高市早苗氏が15.9%、2位の小泉進次郎氏が14.6%、そして石破総理は11.3%で3位にとどまった。ただし、自民党支持層に限定すると構図は逆転する。石破総理が24.6%で首位、小泉氏が21.2%、高市氏が19.6%と続いている。さらに、注目されるのは「首相プレミアム」と呼ばれる指標。内閣支持率から自民党支持率を差し引いたこの指標は+11.6。総理個人への評価が党の支持を上回る状態が続いている。
しかし、石破総理に退陣を求める動きが活発化するなど党内情勢は厳しい。8月8日の両院議員総会では、総裁選の前倒しの是非を総裁選管理委員会に委ねることが決定された。同委員会は今後、所属国会議員と都道府県連への意向確認を進める方針だ。その動きに呼応するように、9日には自民党宮崎県連が総裁選前倒しの要求を正式に決定。同県連の古川会長代行は、「存亡の危機、分かれ道に立つ自民党の本格的再起を図るべき」と強調した。さらに、11日には同党秋田県連においても、国会議員と県議の協議で「前倒しが必要」との意見が相次いだ。12日には同党青年局がオンラインで、47都道府県の青年局幹部から意見を聴取。「これまでの体制・体質では先はない」との厳しい指摘が相次ぐ一方で、前倒し実施をめぐっては賛否が割れた。
★ゲスト:久江雅彦(共同通信特別編集委員)、牧原出(東京大学先端研教授) ★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)