レーダー照射問題を巡り、戦闘機のパイロットの経験がある自衛隊幕僚長が30分間レーダーを照射される心境を語りました。

防衛省 内倉浩昭統合幕僚長 「(Q.中国側は『日本側が訓練区域に侵入・接近した』『日本側が訓練区域に侵入・接近した』など、自衛隊機側が中国側を挑発したとする主張を繰り返しています)自衛隊機が中国の航空機の安全な飛行を深刻に阻害したとの中国側の指摘はあたりません。自衛隊側のレーダーの使用ですが、部隊に確認しましたところ、していないということが確認できました」

 自らもF-15戦闘機のパイロットとして千歳基地で対領空侵犯措置にあたった経験がある自衛隊制服組のトップ・内倉浩昭統合幕僚長。断続的に30分にわたってレーダー照射される気持ちについて、こう話しました。

防衛省 内倉浩昭統合幕僚長 「飛行中におきましては私の経験です。まず手袋に『冷静』『厳格』とマジックで書いています。毎回、離陸するたびにそれを見ながら確認し、飛んでいました。今回のようなレーダー照射がないか、神経を研ぎ澄まして対応しておりました。約30分間にわたる断続的な照射は経験がありません。あのころに立ち戻りますと、大変ストレスを感じていたと思います」

 今月6日、沖縄本島沖の公海の上で航空自衛隊の戦闘機が中国軍の戦闘機から2度にわたってレーダーを照射された問題。

 高市総理大臣の国会での「台湾有事」発言を巡って日中関係が急速に冷え込むなか、中国外務省は11日、再び日本への渡航を控えるように呼び掛けました。

 新たに持ち出したのは青森県沖で発生した地震でした。

 午後に定例会見を開いた中国外務省は青森県沖で発生した地震を理由に、再び中国国民に対して日本への渡航を控えるように呼び掛けました。

中国外務省 郭嘉昆副報道局長 「最近、日本では続けて地震が起きており、数多くの人が負傷しています。津波も観測され、避難指示も出されています。日本の関係部門は今後、より大きな地震が起きる可能性があるとも発表しています」

 地震を口実とした渡航の自粛については、こんな質問が…。

中国外務省 郭嘉昆副報道局長 「(Q.中国は他の国で地震が起きた時にも渡航自粛を要請しましたか?)ご自身で中国外務省のホームページを調べて下さい」

 東日本大震災発生後を調べてみると、被害が大きい東北地方への訪問を避けるように呼び掛けたものの、その他の地域への渡航自粛は求めていませんでした。

 依然として続いている中国側からの動き。

 9日、中国軍の爆撃機がロシア軍の爆撃機とともに日本周辺で長距離にわたる共同飛行を実施したことも判明。

木原官房長官 「我が国に対する示威行動と捉えざるを得ない」

 軍事的な威嚇行為だと非難する日本政府。中ロ両国に「安全保障上の重大な懸念」を伝えました。

防衛省 内倉浩昭統合幕僚長 「(中ロ)両国による度重なる爆撃機の共同飛行は我が国、周辺における活動の拡大・活発化を意味するとともに、我が国に対する示威行動を明確に企図したものであり、我が国の安全保障上、重大な懸念であると考えております」

 果たして、いつまで続くのか…。

中国外務省 郭嘉昆副報道局長 「国際社会は是非を見極め、日本側にだまされず、特に同盟国は日本のペースに巻き込まれないよう警戒しなければならない」

 この発言に防衛省幹部は…。

防衛省幹部 「中国は日本側にだまされないでほしいと言っているが、そういうことを言っている時点で負けを認めていると思う。もう反論する材料がないので情に訴えているんだろう」

 日本政府は冷静かつ毅然(きぜん)と対応する姿勢を続けるとしています。