バスの運転士不足が全国的に課題となっています。仙台市バスでも深刻となっている中、52歳で運転士として第二の人生を歩む男性です。

 ベテラン運転士にも見える男性ですが、この春、未経験から採用された見習いのバス運転士です。東京都でIT関連企業の社員として約30年働いていた垣見朝紀さん(52)は4月に地元の仙台市に戻り、仙台市バスの運転士として第二の人生を歩み始めました。

 この日は、10歳年下の教官に指導を受けながら研修です。
 垣見朝紀さん「へとへとになる感じです。お客様を乗せて実際乗務することになると、かなり体力うを使うんじゃないかなと」

 垣見さんのような50代の新人運転士が誕生する背景には、深刻な運転士不足の問題があります。10年ほど前には全国で13万3000人いた運転士が、2030年には9万3000人にまで減り、約3万6000人の運転士が不足すると見込まれています。

 仙台市バスでも運転士はこの10年で419人から385人に減少していて、更に減っていく恐れがあります。
 仙台市交通局佐藤裕大総務課長「全体の約46%が50代以上という年齢構成で、今後ベテラン運転士の引退による退職者が数多く見込まれますので、人材の確保が急務になっているところです」

 バスの運転士が不足する要因としては、少子高齢化などでバスの運転に必要な大型二種免許の保有者が20年間で約4割も減ったことや働き方改革が影響しています。
 運転士の勤務時間の上限が厳格化されたため、これまでと同じ本数のバスを運行するためにはより多くの運転士が必要になりました。
 仙台市交通局佐藤裕大総務課長「今後5年間で150人程度確保できないと、現状の人員体制を維持できない」

 このため仙台市交通局では、2024年にバス運転士の採用年齢の上限を45歳から55歳に引き上げました。2025年には、宮城県外から仙台市へ転入する人に引っ越し費用を最大50万円助成する制度も創設しました。

 バス運転士の不足は、仙台市議会でも議論されています。
 郷古正太郎議員「特に若い方の確保は非常に重要だと思って、長期にわたって活躍をしていただけるような人材の確保を検討すべきなのでは」

 採用年齢の上限は引き上げられましたが、最大の課題は若手人材の確保です。仙台市バスの運転士の年収モデルは約450万円と、宮城県の20代労働者の平均年収約370万円を80万円ほど上回っています。かつ、低賃金や長時間労働のイメージを払拭できずにいるということです。

 仙台市交通局では、実際の車両で運転士体験を実施するなど、若者へのアプローチを図っていますが人材確保に苦戦しています。全国各地では外国人を運転士として採用するバス会社もあり、仙台市交通局でも可能性を模索しているということです。

 前の仕事では役職にも付き多くの部下を率いていた垣見さんは慣れない仕事に戸惑う日々ですが、運転士となることに誇りを抱いています。バスは市民の暮らしを支える足として欠かせない存在です。地元への貢献を目指し運転士としての道を走り始めます。
 垣見朝紀さん「交通インフラは必ず必要だと思うので、地域の足となって働けることの喜びとやりがいを持ちながらしっかりとやっていきたい」