【羽生結弦さんkhb単独インタビュー】
2026年5月10日(日)に、khb東日本放送で放送された「サンデーチャージ&スポーツSP羽生結弦〜限界無き挑戦〜」で、プロフィギュアスケーター羽生結弦さん(31)が、単独公演REALIVEや、次回公演の構想などについて語りました。聞き手は、同じ仙台市出身で元プロ野球選手の江尻慎太郎さんです。

◆単独公演「REALIVE」終了翌日khbでインタビュー
【江尻】実際初日と2日目どっちが良かったですか?
【羽生】断然2日目でした。完全に。本当に緊張しましたよ。プロ初登板みたいな感じでしたよ。ガチそれくらい緊張していました。
【江尻】本当に過酷な2日間だったんだろうなと。
【羽生】疲れましたけど、やり切れたなという気持ちもあるので、疲れと同時に達成感はすごくありますね。
【江尻】スピンで顔が内出血されたと。
【羽生】めちゃくちゃ内出血もしますし、あとはストレスとかプレッシャーとかも計り知れないので、顔も荒れます。
【江尻】約1シーズンぶりの単独公演。1人で滑り切るハードさと、また向き合ったんじゃないかと思うんですけども。
【羽生】ちょっと今までの構成とも違ったので、1シーズンちょっとメンテナンス期間があったので、コンスタントにツアーを組んでいなかったからこそ余計に、自分の単独公演の時の体力配分、ペース配分みたいなものが完全に抜けきっていたので、初日は最初から飛ばしすぎたなと思ったり、色々なことを改めて経験したなと。

◆2025年8月からのメンテナンス期間「スケートから離れざるを得ない」状況に
【江尻】相当体にダメージがたまっていたんじゃないかと。
【羽生】至る所に爆弾はあったんだろうなという感じはしていて、それが幸いにも大きな爆発を起こさずにケアをし続け、だまし続けてきたところも正直あったので、ちょっとスケートをしていると戻らないだろうなと。体の1つ1つを見つめ直して、実際にダメージがどれくらいたまっているかを、お医者さんも含めて見たうえで、これぐらいかなと、メンテナンス期間を定めました。

◆メンテナンス期間で見つめなおした「自らの可能性」
【羽生】メンテナンス期間の時間をいただいて、その中で勉強していって思ったのが、筋骨隆々じゃなくてもホームランを量産できるバッターもいるし、すごい速い球を投げるピッチャーもいるし、でもムキムキですごいスローカーブを投げる人もいるし、色々な人間がいるじゃないですか。きっと人それぞれに色々な体の特性があって、筋肉的な瞬発力のピークというものは、ある程度科学的根拠が出ていると思うんですけど、それってバイオメカニクス(生体力学)を学んだ人間のデータを取ったかと言われれば、そうではないと思うんですよね。一般40代男性や30代男性とかを並べて垂直飛び、50メートル走のデータを取ったものだと思っているので。そう考えると、肉体のピークはまだ先にあるんだろうなと。意外と江尻さんもまだ164キロ投げられるかもしれない。
【江尻】いやぁー…。
【羽生】今から二刀流転向、164キロ100マイル投げちゃうかもしれない。
【江尻】そうですかね…。羽生さんに言われるとやりますって言わないといけない気になる…。(苦笑)
【羽生】ハハハハハ!
【羽生】アーティスト面は考えられること無限大にあるじゃないですか。確かにあります。間違いなく。でもアスリート側の面だって例えば4回転ジャンプ飛べた、160キロ投げられたとしても、だんだんそれが飛べなくなってきたとかあるかもしれないですけど、それは勝手に思い込んでいるだけの気がするんですよね。勉強しなくなって、アップデートしなくなっただけなんじゃないかと。だから多分きっと、アスリート面の可能性も、無限大に色々あるんじゃないかと思えた。

◆1年2カ月ぶりの単独公演「REALIVE」で実感した変わりつつある自分
【羽生】基本、体全部しなやかになったと思いますね。自分が飛びたいポイントがちょっとずつ体に近い所から、遠くまで体を運んでいける感覚が出てきたり、ジャンプの高さを上げるにしても今までは脚力を使っていたり、お尻の筋肉を使ってグンッと上がっていたものを、より効率よく、遠心力だったり体の連動性を使えた。ジャンプができるということは、スケーティングの基礎的な部分に関しても、かなり色々な影響が出ているので、パッと見で分からないところはもちろんあると思うんですけど、体感としての自分の感覚はメンテナンス期間前と全然違いますね。
【江尻】僕間違っていました。なぜかというと、羽生さんはアスリートとして極めたから、今後はアーティスト面を極めていくと、切り替えていくんじゃないかと、そこに深さがあるんじゃないかと思っていたんですけど、アスリートとしてもっと高みを目指していることを、このインタビューをする直前まで忘れかけていました。
【羽生】やっぱり今から164キロを…。
【江尻】いやいやいやいや…。それはだいぶ横に置いておきたい。だいぶ遠くね。JR長町駅くらいまで遠くに…。
【羽生】近いですよ!(khbからJR長町駅まで徒歩5分)思ったより遠くなかった(笑)
【羽生】なんか根っからスポ根なので、間違いなく。そこを忘れちゃいかんですよ。アーティスト面とアスリート面って、みんなどっちかになっちゃうんですよ。ジャンプ飛びたいからジャンプの練習をするけど、ジャンプの練習ばかりしていると他の所がどんどんおろそかになっていくし、その経験は僕もあります。ただ、やっぱりプロなので、そんなアマチュアの次元にいないから私って思っているので、どうしても表現面で進化したなって思われると、アスリート面はもうあきらめたのかなって思われがちなんですけど、それはもう同時進行で、めちゃくちゃ頑張っているので。
【江尻】そうですよね。今回REALIVEの会場に来た人たちが、羽生さんからエネルギー・勇気・元気をもらうと言っていたんですけど、そらそうですよね。甘くない、甘くなかったです。そんなもんじゃなかった。
【羽生】甘くないんですよ。表現面だけに特化していたら、顔面がこんなボロボロになったりしないんですよ…。
【江尻】それだけ全力でやっているからなんですよね。

◆次回単独公演に向けた新たな試み
【羽生】次回公演の構想はできていて、まだ音楽が決まっているわけでもないんですけど、でも今回前日譚として滑らせてもらった演目が、1回も後ろに下がらずに25分間ほぼずっとリンク上に乗り続けるということをやっていて、スピンだったりステップだったりがメインに見えるんですけど、実は色々なジャンプをちょっと複雑にジャンプらしくなく組み込んでいたりとか、基礎的なテクニカルな部分は見えないように、しれっと入れている。フィギュアスケートでテクニカルな部分を見てもらうのと、バレエとか舞台とか演劇とかにあまり興味が無かった方が楽しめるように、新しいジャンルとしてどっちも入っているので。改めて新しいジャンルを立ち上げてこられたっていう感覚は、手応えとしてちょっとだけあります。ちょっとだけ。
【江尻】次回公演はまだまだと言っていますが、何%くらいまで来ている?
【羽生】0.1%くらい。
【江尻】0.1%!すごいなんか良い答えかも…。
【羽生】頭の中で出来上がっているものは1つあるんですけど、それをどうこれから形にしていくかを決めていくところなので、REALIVEで得られた手応え可能性、見て下さった方々の感想含めてどういうふうに進んでいくべきなのか、もっと面白いことができないか探していくところ。それに加えて、僕自身もどんどん挑戦したい人間なので、もっとアスリートとしても強いところをどんどん出していきたい、どんどんうまくなりたいという、成長段階なので、全部統合して、最終的にこの形になったんだねって、いつかはなると思います。