今年5月に栃木県で起きた強盗殺人事件で実行役の少年1人を勧誘した罪に問われている18歳の男子高校生の初公判が、今月15日に行われました。なぜ“闇バイト”に加担してしまう少年が後を絶たないのか、少年院を取材しました。

■18歳が初公判「金もらえるかも」

裁判官 「現在何歳ですか」 被告人 「18歳です」 裁判官 「職業は何ですか」 被告人 「高校生です」

 15日、初公判が行われたのは今年5月、栃木県上三川町で起きた強盗殺人事件。富山英子さん(69)が殺害され、富山さんの息子2人もバールで殴られ出血するなどのけがをしました。

 逮捕されたのは、指示役の竹前海斗被告(28)と美結被告(25)の夫婦。事件を主導したとみられる益田和彦容疑者(48)は海外に逃亡し、いまだ行方が分かっていません。

 そして、実行役として16歳の少年4人、その実行役の1人を紹介したとして、18歳の高校生1人が逮捕されました。

 18歳の高校生はもともと知り合いだった実行役の1人に、川崎市の少年を紹介。職業安定法違反の罪に問われています。

被告人 実行役を紹介した高校生(18) 「『無免許で事故を起こしてお金がほしい』『闇バイトを紹介してくれ』と相談されていた」

 犯罪行為に加担すると分かっていたものの、実行役に紹介したといいます。

被告人 実行役を紹介した高校生(18) 「『1000万円が手に入る仕事』というような(実行役の少年の)インスタグラムのストーリーの投稿を見た」 「取られた金塊を取り返しに行く仕事と聞いて、犯罪行為が行われるんだろうなと思った。紹介することで、いくらかお金がもらえるかもしれないと期待を持ってかかわってしまいました」

 検察側は論告で「重大犯罪が起こることを想定していたのに紹介した」と指摘し、拘禁刑1年6カ月を求刑。一方、弁護側は、執行猶予付きの判決を求めました。

木原稔官房長官 「現在も一日あたり約10億円の被害が発生するなど、異常事態とも言える状況だ」

 トクリュウなどによる特殊詐欺の被害額が一日当たり10億円に上る深刻な状況を受け、政府も危機感を強めています。

 今年4月、東京・新宿の百人町にある酒の買い取りや販売を行う店の事務所での強盗未遂事件。高校生ら少年5人を含む7人が逮捕されました。

 また、今月3日には長野県千曲市の80代男性から現金160万円をだまし取ったなどとして、千葉県に住む15歳の男子高校生が逮捕されました。

 「闇バイト」の勧誘から少年たちが犯罪に手を染めるケースが後を絶ちません。

■少年院を取材 語る後悔

 番組のカメラが入ったのは、東京・八王子市にある多摩少年院。昼下がりの教室に入ってきたのは、保護処分となった少年たちです。

教官 「いつもの席に着いてください。グループワークを始めますので、姿勢を正してください」

 彼らはそれぞれ別の事件で、闇バイトを通じて犯罪に加担した経験のある少年たちです。自分の行為や交友関係を振り返り、再び犯罪に加わらないための授業をグループワーク形式で行っています。

 この日のテーマは「これからの生活について考える」。最初に発表するのは、逮捕された日の自分へのアドバイスです。

「人を悲しませるんじゃなくて喜ばせてほしいし、そんなんで稼いでも意味がない、そのままの道を歩んだらしょうもない人生になるよと伝えたい」

「なぜ関わらない選択を取らなかったのか?しっかり考えてから行動してほしいし、普通に働いてほしかったというのを伝えたいです」

 少年たちが口をそろえ、語ったのは闇バイトに加担したことへの後悔です。

今井専門官 「闇バイトにかかわるきっかけというのが交友関係というのが多くて、自分の入っていたチームとかグループの中で自分の地位を確立するためにとか、上からお願いされて、いやおうなく従ってしまった子もいます」

 闇バイトへの勧誘方法は、「SNS」から「リアルな交友関係」へと変化しているといいます。

■闇バイト加担の経緯は

 授業を受けていた中の一人。闇バイトを通じ「受け子」として犯罪に加担した少年に当時の経緯を聞くことができました。

「(Q.闇バイトに関与し始めたきっかけは?)きっかけは先輩ですね。そういう人に誘われて、最初は断ろうと思っていたんですけど、いろいろ報酬の話とか出されて、そこから(報酬が)いいじゃんと思ってやるようになりました」

 きっかけは「先輩からの紹介」でした。

 元々面識はなかったものの、友人の紹介で知り合った先輩が高額の報酬を提示し、誘ってきたといいます。

「(先輩に)最初は『仕事』と言われてて、『2日でたくさんお金がもらえるよ』みたいな。僕は闇バイトだと思って、そういうことを聞いたら『そうだよ』みたいな。最初に断ったんですけど、でもそれでもグイグイ押されて最終的には『やります』と」

 「闇バイト」で使われたのは「シグナル」というアプリ。指示を受けた内容は…。

「受け取ったお金を渡す。その人と会ったんですけど、全く面識ない。その人も僕と同じような捨て駒みたいな感じだと思います」

 指示されたのは、「受け子」役でした。

今井専門官 「『出し子』や『受け子』の少年も結構多いですけれども、中には少年をあっせんする『リクルーター』という立場の少年とかもいます」

 話を聞いた少年は2度、闇バイトにかかわったといいます。しかし、約束された額の報酬を得ることはありませんでした。

「(Q.報酬は得られた?)全然得られてないです。経費だけもらってみたいな感じです」

■「金」と「脅迫」

 それでも闇バイトから抜け出すことができなかったのには、“ある理由”があるといいます。

「仕事の前に、先輩が『俺にだけ個人情報を渡して』みたいな。上の人から守ってくれるのかなみたいな。最初はその人のことを信用して、個人情報を渡した」

 2度の闇バイトの後、足を洗おうと考えた少年でしたが…。

「『辞めたいです』みたいな僕は言ったんですけど、そしたら(先輩に)『他の人用意して』『用意できなかったらやって』って。それでも『嫌です』って言ったんですけど、『君のことを殺す』と脅されました。(先輩は)すごい優しい人でかっこいいなって思っていて、本当にびっくりしたし、ショックだった。先輩が怖くてっていうのもあったんですけど、やっぱりお金がもらえるっていうのも頭にちらついてて、まあ来週終わらせればお金もらえるのかもみたいな感じで、少しずつ(闇バイトにかかわる期間が)長くなっていきました」

 交友関係を通じて闇バイトにかかわったこの少年はその後、逮捕されました。

 少年は現在少年院で、自らの行いに向き合う日々を送っています。

「(闇バイトに)誘われた時に、家族だったり、周りの人に聞いたら止まれたかなみたいな。普通に働いて、普通にお金稼いで、普通に生きたいと思っています。社会に何かしら貢献したいなって思ってます」

(2026年9月16日放送分より)