今後懸念される地震についてです。世界で最も地震活動が活発な領域の一つ、日本海溝です。そして、東日本大震災の震源とプレートのずれが大きかったのが、この日本海溝の西側でした。震災の後、この周辺で地震活動が活発になっています。

 2021年は2月から5月にかけてこの陸地に近いところで、マグニチュード7前後の地震が立て続けに起き、宮城県内にも被害をもたらしました。これに加えて専門家が警鐘を鳴らすのは、日本海溝の東側で起きる巨大地震です。

 この地震は、日本海溝の外側で起きることから、アウターライズ地震とも呼ばれます。大きな津波を引き起こしやすいとされ、専門家は注意を呼び掛けています。

 東北大学災害科学国際研究所遠田晋次教授「恐れられてる2つのタイプの地震というのが、2021年に起こったようなタイプの地震。沈み込む太平洋プレートに関連する地震ですけれども、陸に近いので揺れが強くなります。もう一つ、これまだ起きてませんが、(陸側から)かなり遠方の海で起きる浅い地震。これもしマグニチュード8よりも大きくなってきますと、非常に大きな津波が発生する可能性があると」

 地震のメカニズムの専門家で東北大学の遠田晋次教授は、宮城県に関係する二つのタイプの地震について分析し、特に日本海溝の東側で起きるアウターライズ地震に警鐘を鳴らしています。

 マグニチュード3以上の地震の発生頻度について、震災前の13年間と、震災後2016年からの5年間を比較。震災でプレートが大きく動いた場所では、地震の発生は10分の1から100分の1程度にまで激減する一方、その周辺では地震活動が活発になっています。特に日本海溝の東側、アウターライズでは100倍に激増しています。

 発生頻度に加え、宮城から200キロ以上遠方で起きるアウターライズ地震には、油断を招きやすい特徴があると言います。

 東北大学災害科学国際研究所遠田晋次教授「(マグニチュード8クラスで)揺れても(東北では)震度5行くか行かないかぐらいではないかと思いますが、その代わり、遅れて津波がやってくる可能性が高いと。海のプレートが沈み込んでいくんですが、沈み込む時に少しこう曲げられるんですね。曲げられるので、引っ張られるんですね、こういうところで断層がバキッと動くと上下に動くんですね。ですから、海底を大きく変動させるために大きな津波が発生するということになります」」

 更に、アウターライズ地震は、日本海溝西側の地震と対になる形で起きる特徴があります。約3000人が亡くなった1933年の昭和三陸地震もその一つです。

 東北大学遠田晋次教授「明治三陸地震っていうのは1896年に起きてますが、その37年後ですかね。昭和三陸地震、1933年に同じくマグニチュード8クラスのアウターライズ地震が起きてますので、こういった鏡写しというかペアになった形で起きやすいと」

 東日本大震災と対になるアウターライズ地震について、遠田教授は今後いつ起きてもおかしくないとして注意を呼び掛けています。

 東北大学災害科学国際研究所遠田晋次教授「いつ起きてもおかしくないんですが、かなり後になって起こることも考えられるんですね。我々人間の時間スケールと自然界の時間スケールは違いますから大きく。ですから、ちょっと長期戦になる可能性があります。揺れは強くないから大した地震じゃないだろうと思っても、警戒がやっぱり必要だという事ですね」