SNS上のつながり、デジタルコミュニティーを災害時の避難に役立てようという検証を東北大学が行っています。目指すのは、逃げ遅れゼロです。

 津波避難について研究している東北大学災害科学国際研究所の菅原大助准教授です。菅原准教授が取り組んでいるのは、災害時に避難情報などを共有できるデジタルコミュニティーの形成です。

 東北大学災害科学国際研究所菅原大助准教授「従来型のフェイストゥフェイスの関係がだんだん力が弱くなってきていると。避難するための呼び掛けとか、外からできる手助けをスムーズにできるような大きなバーチャルのコミュニティを作れないかということですね」

 この検証では協力してくれる人を一般から募り、ツイッターやインスタグラムといったSNS上で計60人のデジタルコミュニティを作りました。参加者の年代は20代から50代です。

 参加者にSNSへ日常的に防災に関する情報を投稿し、菅原准教授が情報共有の度合いやメンバー間のつながりがどの程度強化されるか分析しています。

 防災情報に関するデジタルコミュニティを形成し、災害時には瞬時に避難情報などを共有、拡散してもらい逃げ遅れゼロにつなげたいとしています。

 取り組みに参加している仙台市太白区の乾理枝さんです。乾さんの自宅は津波の浸水エリアに含まれていませんが、週に数回愛犬を連れて沿岸部のドッグランに通っています。 乾さんは、これまでに津波避難ビルの所在地や災害時に役立つ備蓄品の情報など10件ほどの投稿をしていて、他の参加者の投稿もこまめにチェックしています。

 乾理枝さん「(災害時)リアルタイムの情報が入ってくるので、ツイッターなりインスタなりでリアルな今知りたい情報を知ることができるというところで役に立つのではないかと思っています」

 この日、菅原准教授は乾さんから検証に参加して感じたことなどを聞き取りました。

 乾理枝「SNSを使うのが若い子が多いと思うので、若い子をもうちょっと引き入れることができれば良かったのではないかという気はしました」

 参加者で多いのは40代と50代で、乾さんからは「高校生など発信力の高い若者の参加が必要ではないか」という意見が出ました。

 東北大学災害科学国際研究所菅原大助准教授「若い人たちの好むSNSの使い方をもう少ししっかり取り入れていくように進めていく必要があると思っています。このデジタルのつながりで呼び掛けなど通じて一人でも多くの人が避難できるように、最終的には逃げ遅れる人がいないようにということを目指してやっていきたいと思っております」

 菅原大助准教授は2023年度中に検証結果をまとめ、2024年度以降一般社会での展開を目指したいとしています。