1日に稼働を始めた次世代放射光施設ナノテラスで、9日から企業などによる利用が始まりました。

 東北大学の青葉山キャンパスで1日に稼働を始めたナノテラスは、非常に明るい光=放射光を物質に当てることで、その構造をナノレベル=100万分の1ミリ単位で解析できる巨大な顕微鏡です。

 9日から企業などの会員による利用が始まりました。会員は1口5000万円の加入金を支払った企業や大学で、計150以上の法人が加入しています。

 広島市本社の企業がナノテラスを使って分析しているのは、モーターに使う磁石の素材です。

 戸田工業松岡大取締役「どこに問題があるかこれで分かるんです、1回で。これは大きいですものすごく」

 宮城県の企業では、うどんなどの麺類を作る登米市の食品メーカーも活用しています。 フリーズドライのにゅうめんを装置に入れ、中に含まれるデンプンの構造を分析しています。

 マルニ食品二階堂玲子社長「新しいフリーズドライ麺を、いかにおいしく作るかということに挑戦していきたいと思っています」

 光科学イノベーションセンター高田昌樹理事長「新しい科学技術に対する、もしくはイノベーションというべきですかね、それに対する新しい1ページが始まったとに思っています」

 ナノテラスでは5月、運用開始を記念して式典が開かれます。

 ナノテラスの利用を後押ししようと、仙台市は「測定・分析の支援補助金」と「専門家への無料相談」という新たな2つの制度を設けました。

 郡仙台市長「地元中小企業の皆様方には自社製品の魅力や強みの証明品質向上のために、是非ご活用していただいて企業価値の向上につなげていただきたいと考えております」

 仙台市によりますと、ナノテラスでの測定やデータの分析・解析で大学や研究機関から支援を受ける場合、委託費などとして発生する費用を補助するということです。

 補助額は対象費用の2分の1で、100万円を上限としています。大学教授などの放射光の専門家から、事前に無料でアドバイスを受けられる制度も新設しました。

 郡仙台市長「産業界、学術界に極めて大きなインパクトをもたらす施設が本格運用する。この地域に色々な物が集積して様々なイノベーションを生み出していくことになるだろう。これがこの地域の、日本全体の活性化にもつながると期待しています」

 ナノテラスの利用促進策では、宮城県も中小企業の利用料について、宮城県に本社を置く企業は2分の1、宮城県外の企業は3分の1を減免する制度を設けています。