連休中も各政党は物価高対策として消費税の減税を訴え、減税の中身を巡るつばぜり合いが続いています。こうしたなか、肝心の石破茂総理大臣は減税しない方向だという見方が出ています。

■石破総理“消費減税見送り”か

 週末、4日間の休暇に入った石破総理。総理の乗った車の脇で、風を受けた鯉のぼりが空を泳いでいました。

 石破総理が受けているのは、永田町で吹き止まない「消費税減税の風」。休暇を前に、ある決意を固めたという見方が出ています。

政治ジャーナリスト 青山和弘氏 「かなり強い調子で(消費税)減税を見送る方針に傾いたという取材結果だったんです。石破総理は『今が我慢のしどころだ』という言い方をしたんですね。減税しろという声が強いのはよく分かっているが、今なびいてしまうのはよくないと(減税見送りに)カジを切ったわけです」

 長年、石破総理を取材してきた、政治ジャーナリストの青山氏。先週、石破総理への取材から「消費税を減税しない方向に軸足を移した」と確信したといいます。この決意に影響を与えたという人物が…。

■慎重派の立憲・野田代表が一転…減税へ

立憲民主党 野田佳彦代表 「財政規律に厳格な野田佳彦が減税するのかと驚く人が多くいる。民のかまどから煙が立たない世の中には、やはり『消費税の食料品ゼロ税率』を思い切って実証しなければならない」

 立憲民主党の野田代表は週末も、日課とする“辻立ち演説”に臨み、「原則1年間、食料品の消費税ゼロ」という決断に理解を求めました。

 一方、この決断をひややかに見ているのが、日本維新の会の吉村洋文代表です。

吉村代表 「党内をまとめるうえの妥協の産物が、この1年(限定の減税)案ではないかと思います。だから(立憲民主党は)本気でやる気はないのでは」

 慎重派から一転、消費税減税を決断した野田代表。この判断が、石破総理に影響を与えた可能性があるといいます。

青山氏 「批判を浴び、変節だと野田代表が言われるのを見て、自分は(減税に慎重な)財政規律派のスタンスのほうが存在感を示せるし、自民党らしいと(考えたようだ)」

 しかし、消費税を減税するべきかどうかについて、与党は決して一枚岩ではありません。

石破総理 「低所得者が物価高に一番苦しんでいることを考えると、(消費税減税は)どうなんだろうねと」

■野党も譲れない物価高対策

 消費税減税を求める声は根強いものがあります。この夏に選挙を控えた参議院議員や公明党です。

 石破総理が目を向けているのは、「コメとガソリン」です。

 石破総理は、コメの流通の安定やガソリン価格が順調に安くなれば、減税を求める声が落ち着くと見込んでいるといいます。

 国民の生活を苦しめる物価高対策は、各野党にとっても譲れない一線です。

国民民主党 玉木雄一郎代表 「手取りが増える。税負担が引き下がる。こういう政策を訴えています。ガソリン価格を下げることが一番の地方創生だ」

 玉木氏は週末、衆議院に提出したいわゆる「若者減税法案」について「世代間の分断を与えるという誤解を生んだ」と釈明する一幕もありました。

れいわ新選組 山本太郎代表 「消費税は廃止まで押していくのが一番重要だと思います」

共産党 小池晃書記局長 「消費税の減税こそが物価高対策の決定打だ。これをやろうではないか」

 連休中も各党は、減税を錦の御旗に存在感を競い合っていました。

 青山氏は6月以降に続く、都議会議員選挙と参議院選挙に与える影響に注目しています。

青山氏 「自民党は情勢調査をやっていて、参院選ではあまり勝てないが、過半数を割り込まない(可能性)という数値が出たことも石破総理に安心感を与えた(との指摘もある)。石破総理の出方によって選挙の構図や争点が変わる」

(「グッド!モーニング」2025年5月5日放送分より)