備蓄米の価格を「2000円台に」と意欲を示した小泉進次郎農林水産大臣(44)。「価格破壊」は起きるのでしょうか。

■小泉大臣視察 価格本当に下がる?

 23日、都内の大手スーパーに現れたのは就任3日目となる小泉農水大臣です。

 コメ大臣が向かったのは…。

小泉農水大臣 「こんなに棚が空いているんですか?」

ライフコーポレーション 岩崎高治社長 「きょう大臣がいらっしゃるということなんですけど、いつも通りにしました。全くお化粧せず、いつも通りの売り場を見ていただこうと思いまして。全くこれは通常通り」

小泉農水大臣 「最近は大体こんな感じですか?」

ライフコーポレーション 岩崎高治社長 「大体こんな感じですね」

小泉農水大臣 「今まで備蓄米を3回出してきたけども、この棚は埋まらない?」

ライフコーポレーション 岩崎高治社長 「埋まらないですね。備蓄米は我々も確保はできたんですけど、スポット的に入ってくるということで。50袋くらいは入ってきますけど、すぐに売れてしまう状況」

小泉農水大臣 「今5キロ袋と2キロ袋となかにも4キロ袋もありますけど、どれが一番売れますか?」

ライフコーポレーション 岩崎高治社長 「やっぱり5キロは売れるのは売れる。一番メインではあるが、ただお客様によっては単価が1度にお支払いするところで2キロのニーズもありますけど」

 身をかがめて、コメの在庫状況や価格に目をこらします。

小泉農水大臣 「価格は今、少し高くなってきている?」

ライフコーポレーション 岩崎高治社長 「そうですね。安い…。安いと言っても4000円台ですけど、4000円前半の商品はもうなくなっちゃっています」

 社長の説明を聞きながら、5キロのコメ袋に手を伸ばします。

小泉農水大臣 「税込み5300円。いつぐらいからこういう状況になりましたか?」

ライフコーポレーション 岩崎高治社長 「ここまで厳しくなったというのは、どうでしょう3カ月くらい」

小泉農水大臣 「分かりました。ありがとうございます。あまり長くいるとお客様に迷惑が掛かっちゃうので、ありがとうございます」

 5分ほどの滞在で売り場を後にします。小泉大臣はスーパーに続いて街の精米店へ。

小泉農水大臣 「三河屋さん、どうも。名刺がようやくできましたので、よろしくお願い致します。最近のコメの状況をどう感じていますか」

精米店 店員 「やっぱり高いですよね。とにかく高くて」

 沿道から「農家も守って」と訴える声が…。

農家を名乗る人 「コメ2000円になってまたコメ不足になるんですから。大臣、農家のことも考えてやって下さい」 小泉農水大臣 「はい。ありがとうございます」 農家を名乗る人 「お願いします。うち農家なんで」 小泉農水大臣 「はい。ありがとうございます」

 農家だという男性が発した「コメ2000円」という言葉。実は…。

 小泉農水大臣は23日朝、テレビ朝日の番組に出演。今後、備蓄米の店頭価格が2000円台になることを目指すと明かしていました。

小泉農水大臣 「全国平均が4200円と出ているが、総理は3000円台(にする)と話をしている。これをできれば2000円台で流していけるように考えている」

 全国のスーパーでのコメの平均価格は4268円で最高値を更新しています。

小泉農水大臣 「一般競争入札で高い値段を付けた者が取るのではなく、今回はこちらのほうで値段を決めさせてもらう。2000円台で棚に並んでいくようにまずはする。そのことによって農家の皆さんをいじめているのではなく、コメ離れを防ぐためにこの異常な高騰を一回食い止めなければいけない」

■“随意契約に”JA受け止めは?

 備蓄米については、これまで「競争入札」が行われ、最も高い価格を提示した集荷業者に売り渡されていました。3回目までの入札で放出された備蓄米は合わせて約31万トン。そのうち約95%をJA全農(全国農業協同組合連合会)が落札しています。また、1回目と2回目で落札された約21万トンのうち、先月27日までに小売業者に渡った備蓄米は、わずか7%ほどにとどまっています。

小泉農水大臣 「今までの一般競争入札は95%を全農が持っていた。なかなか店頭まで流れていくスピードが高まっていかない。国民の皆さんからすると『まだない』『品薄だ』。今回は対象を広げていく予定で考えている」

 今後、「随意契約」に変えた場合、国が売り渡して価格を決めたうえで、任意の受注者に備蓄米が渡ります。その対象は集荷業者に限らず、スーパーなどの小売店や外食業界も含まれるとしています。

小泉農水大臣 「例えばスーパー、流通小売り、このなかでも手を挙げてもらって、どれくらいの量を早く棚に並べられるかを聞きながら決まっていくと思うが、今、ありがたいことに色々問い合わせがあるなかで早いところであればかなりスピード感を持って備蓄米が安く棚に並ぶ。そういった形が実現できるのではないか」

 「随意契約」に変わることについて、JA全農は…。

JA全農(テレビ朝日の取材に対する回答) 「詳細について確認できないので、詳細を確認して色々と検討して参ります」

 JA松本ハイランドに「随意契約」について聞くと…。

JA松本ハイランド 田中均さん 「透明性が確保できれば随意契約でも良いと思う。『こういう業者と随意契約をしました』『こういう基準でやりました』、説明をしてそれを皆さんが納得すれば(随意契約でも)良いのでは」

 22日、番組がJAグループのスーパー「Aコープ」を取材すると、備蓄米の価格は5キロで税込み3434円でした。

 備蓄米が2000円台で店頭に並ぶことは可能なのでしょうか…。

JA松本ハイランド 田中均さん 「入札金額よりも随意契約の金額が下がれば(2000円台での販売の)可能性はある」

 長野県内のJAなどが出資する「A・コープファーマーズ」では、備蓄米のブレンド米が5キロで税抜き2990円。税込みでは3200円台となっています。4月11日の販売当初から、価格は変わっていないといいます。

JA松本ハイランド 田中均さん 「小泉大臣が就任したから急にそうなったわけじゃなく、以前からその値段でやっている」

 小泉農水大臣は新たに備蓄米の店頭価格を地域ごとに毎週公表することを農水省内で検討しているといいます。

小泉農水大臣 「毎週、店頭価格をチェックしようと話をしているのは事実。やはり地域差が相当ある。この地域差も公表しながら同じ備蓄米がこれだけの価格差があることも含めて世の中に知ってもらうなかで、適正な価格に落ち着かせていきたい」

 沖縄県の離島「西表島」の売店では23日、秋田県産の「あきたこまち」などが5キロで、税込み7000円に迫るほど高騰しています。

 精米店の視察を終え、小泉大臣は…。

小泉農水大臣 「相当大胆なことをやらなければ状況は変わらない。今、改めて決意を新たにしたところ。6月の上旬に2000円台でこれからの備蓄米が流れていくように今、最終的な詰めを行っている」