先人たちから受け継いできた手作りの伝統技術を後世につなごうと、日々畳を作り続ける宮城県大崎市古川の畳職人をご紹介します。

 佐々木崇さん「手を使うって作業をやめてしまえばそれもまた途絶えてしまうので、なるべく手を使うことを中心にやらなきゃなって。本当に100年先に残れるように、残せるようにですね自分ができる事をやっていきたいなと思いますね」
 伝統の技術を後世に残そうと畳を作り続ける職人の決意とは。

 大崎市古川の畳職人佐々木崇さんは宮城県でただ1人、全国技能グランプリで優勝するなど数々の賞を受賞しています。
 佐々木崇さん「手作業ですよね。手で切るとか手で縫うとか手で止めるとか手で引っ張るとか、手を使う作業っていうのは絶対無くしちゃいけないと思います」

 加美町にある佐々木さんの実家の畳店で、この日は父親の佐々木誠喜さんと一緒にわら床を作っていました。
 佐々木崇さん「上に行けば行くほどきれいにしたり真っすぐにしないと、でこぼこのムラになるんですよ、上に行けば行くほど並べるの難しいんです。昔の畳はみんなこういう事やっていたんですよ。もうみんなやらなくなって省略化して、わらも少ないから発泡スチロール畳とかそういうのばっかり」

畳作りを後世に

 佐々木崇さん「自分がこう仕事をしててわら床を作ってる時に、どうにかしてこれを残していかなきゃなっていう使命感というか思いになった時に、短冊作ってこれをとりあえず床に入れようと、100年先までって書いてあって100年先にこの畳が残ってたらうれしいと。そのために自分が何ができるんだろうっていう思いも込めながら」

 お客さんから、畳を修理してほしいと注文を受け回収にきました。
 佐々木崇さん「良く見るとこっちの隙間よりこっちの隙間の方が広くないですか。何となくですけど、こっちのほうが狭くてこっちのほうが広いだから、こういう感じで広がってる」
 佐々木崇さん「じゃあ来週の火曜日に持って来ますんで、じゃあお預かりしていきます。ありがとうございます」

 佐々木崇さん「こうやってちょっと下がってたりするんですよ。こう見ると仮にそういう所にもう1回わら乗せて、ここ補修してあげるんですよ。そうするとぺたっと平らに戻るんですけど」

 30年ほど使われ古びた畳。佐々木さんは、ごくわずかなへこみも手の感触で探りながら補修していきます。
 佐々木崇さん「手を使うっていうのは、お客さんから預かった畳を直す時に少しでも長持ちしてほしいなとか、いつまでも使ってほしいなって思うと自然とこう手が出てしまって。元々畳職人って手を使って畳を作るのが本来だったんですけどね、手を使うって作業をやめてしまえばそれもまた途絶えてしまうので、なるべく手を使うことを中心にやらなきゃなって」

わずかなへこみも修正

 いよいよ納品です。少しでも長くいつまでも使ってもらいたい。真新しい姿に生まれ変わった畳を元の場所に敷いていきます。
 「すごいここから匂いね、井草の香りが。
 佐々木崇さん「新しくなると弾力性もまた戻るし、この香りがまた何とも言えないですね。これでまたしばらく気持ちよく使えると思いますんで」
 「そうですね、こんなに丁寧にしっかり埋めていただいて、これからまた30年は大丈夫ですかね、ありがとうございました」

 佐々木崇さん「何年か先に別な畳屋さんが自分が作った畳を直すかもしれない。その時に開けてみたらその短冊が入っていて、それを見た時に佐々木さんはこういう気持ちでこれを作ってきたんだ、じゃあ俺も残そうって他の職人さんもそういう気持ちになってくれたらすごいうれしいですし。本当に100年先に残れるように、残せるようにですね、自分ができる事をやっていきたいなと思いますね」