連日の猛暑の影響を受けているのは人だけではないようです。宮城県涌谷町では、乳牛たちに異変が起きていました。
さいとう農場齋藤常浩さん「連日の暑さのせいで餌を食べる量が減っておりますので、それに伴って乳量も落ちております」
悩みを話すのは、涌谷町で乳牛60頭を育てている齋藤常浩さんです。
乳牛は暑さに弱く猛暑が続くと夏バテ気味となって、餌を食べる量が減ります。齋藤さんによりますと、連日の暑さに加え湿度が高いこともあり、搾乳量が通常より3割ほど減っているということです。
さいとう農場では16台のミスト送風機を使って牛舎の気温を下げたり、餌の量を減らして胃の負担を軽くしたりするなどの牛の夏バテ対策を講じてきました。
更に、暑さ対策のサプリメントを与え始めました。血管を拡張させることで体にたまった熱を放出しやすくなる効果が期待できるということです。
齋藤さんは、この暑さが続くことで搾乳量が減るばかりでなく繁殖にも悪影響が出ると心配しています。
さいとう農場齋藤常浩さん「牛にとっても人にとっても非常に厳しい暑さですが、少しでも早く牛も人も過ごしやすい季節になって頂ければなと思います」
一方、宮城県石巻市の養鶏農家ではニワトリにも異変が起きていました。
つるじい農園三浦寛樹さん「ニワトリが口を開けて口呼吸を暑そうにしているというのが最近の様子ですね」
ニワトリ約500羽を飼育する三浦寛樹さんは、様々な暑さ対策を講じています。鶏舎の外側や屋根をシートで覆って日差しを遮断し、水を与える回数も増やしました。それでも。
つるじい農園三浦寛樹さん「最近やっぱり多いのが小さめの卵が多いですかね。小さめのサイズの割合が、多いような形じですね」
取れる卵の数が減っていることに加え、通常は2割ほどしかない小さめの卵が、4割から5割にもなっているそうです。更には売り物にならない卵も。
つるじい農園三浦寛樹さん「これはもう商品にならないですね。処分するしかないですね。自家消費するか処分する形です」
売れる卵が減って収入が減少しているという三浦さん、生産者としての率直な思いを話します。
つるじい農園三浦寛之さん「収入が減っているのもうそうなんですけど、やっぱり欲しいって言っている方にお渡しできないのが一番つらいですね」
猛暑に加え、雨不足の影響が野菜の生育にも及んでいます。今後の価格高騰が懸念されます。
仙台朝市で青果を販売する、いたがき朝市店です。店長の森さんは、猛暑や少雨が野菜の生育に大きく影響していると話します。
森俊之店長「質は下がっています。トウモロコシも若干えくぼ出てたりするんですよ、実が痩せていたりとか。ただ単に雨が少なくて、トウモロコシに水分が行き渡ってないんですね」
この2、3カ月はサニーレタスとダイコンの価格が高止まりしていて、今後出荷できる出来に達しない野菜が増えれば、全体的な価格の上昇は避けられないと心配しています。 そして、本来の入荷時期や量が変化する懸念も。
森俊之店長「本来であればこれからどんどん(産地が)北上していって北海道の商品が入ってきたりとか、トウモロコシとかジャガイモとかも出てくるんですけども、暑くなってくると見通し不安だねっていうのはありますね。暑いのはもうどうすることもできないんですけども、適度な雨が降ってもらわないことには、やっぱり土がからからに乾いてれば野菜は成長しないので、適度な雨が欲しいです」
消費者からも、物価高の更なる拡大に不安の声が聞かれました。
「例年の降水量50%切るぐらいだと、どうしてもやっぱり上がりますよね。野菜はね、生きていくために一番必要な栄養源だからね」「生活は難しいね、やはり」「給料があんまり高くならないのでつらい」
東北農政局が7月31日に発表した、8月の野菜の入荷量の見通しです。
平年を下回ると見込まれるのはニンジン、ハクサイ、キャベツ、レタス、普通トマト、ジャガイモ、タマネギの7品目です。
卸売価格は、ダイコンとニンジンの2品目で平年より11パーセント以上高値になるとみられます。