仙台市中心部で、ホテルの開発が相次いでいます。計画を予定している国内ホテル業界最大手、アパホテルの元谷芙美子社長がkhbの単独インタビューに応じました。

 JR仙台駅近くのアパホテル仙台駅五橋は、7日からホテルのレストランをリニューアルしました。

 宿泊客の朝食会場としても使われるレストランの中央にあるのは、宿泊客の目の前で調理する炭火を使った焼き台で、今回のリニューアルの一番の売りです。

 厚切りの牛タンや日替わりで提供する焼き魚、宮城県亘理町名物のはらこ飯など宮城の名物にこだわっています。

 リニューアルを前に開催された内覧会には、アパホテルの広告塔であるアパ社長こと元谷芙美子社長も駆け付けました。

 元谷芙美子社長「やはり仙台市は109万人いる、東北一の大都会です。『札仙広福』と言って札幌、仙台、広島、福岡とメリハリをつけて選択と集中で気合い入れて頑張っています」

 国内ホテルの業界最大手で全国で1000近くのホテルを展開するアパグループは、今回のレストランのリニューアルだけでなく、仙台市で4棟目のホテル建設を計画中です。

 広瀬通駅から徒歩1分、JR仙台駅からも近い立地です。地上14階建てで、大浴場と露天風呂を備え、客室数は343室。2028年12月の開業を目指しています。

 アパホテル元谷芙美子社長「地方の雄として東北では断トツの知名度と力があるし、歴史を大切にしている土地柄ですよね、私には無いものを全部持っています。上品で知性があって」

 JR仙台駅周辺は、ビジネスホテルの激戦区でもあります。

 元谷芙美子社長「決して競い合うことなく、連帯感を持ってホテル業界として共に繁栄していきたい気持ちはある。観光は資源の少ない日本にとって大切だから、基本は仲良く支え合っていけたらという気持ちは持っています」

 仙台市で4棟目のホテルが完成すると、アパグループとしては合計1356室になります。元谷社長は、仙台市を中心にしつつ宮城県でも積極的にアパブランドを増やす考えです。

 元谷芙美子社長「3000室くらいは宮城県でもやれるかなという希望は持っていて、まだまだ仙台市だけではなく、フランチャイズでお話があれば仲間になってもらい、一緒に参画して頑張って経営させていただければうれしく思います」

 仙台市中心部で、ホテル開発が相次いでいます。専門家に背景を聞きました。

 七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「県外や海外の人の需要を当てにできることで、経済効果が大きい」

 2029年には読売仙台ビルがホテルの入ったビルへと建て替えられる予定で、仙台三越の隣SS.仙台ビルの跡地では大和ハウス工業がホテルを建設する計画です。

 khbの調べでは、2024年1月以降に開業または今後開業予定のホテルは、7つに上っています。

 七十七リサーチ&コンサルティングの田口庸友首席エコノミストは、仙台市は東北最大の都市で拠点性が高、これまでもホテルの開発ラッシュが繰り返されてきたと指摘した上で、ホテルのビジネスモデルに注目します。

 七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「全国的にホテルの宿泊料は非常に上昇、高くなっている人件費や様々な事業コストが上がっているが、ホテルの場合は比較的価格転嫁がしやすいこともあって、事業者の側で値上げをしても需要がそんなに落ちないことで、ホテルは比較的収支計画が立てやすい業界」

 田口さんは、採算の計算が立てやすいホテルは仙台市中心部の再開発では欠かせないキー施設になると分析します。

 七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「ホテルは例えば商業施設と違って宮城県域内の消費に依存しない。

域内では人口も減少してしまいますし、所得もあまり伸びていない中で頭打ち感があるんですけれども、ホテルだと県外や海外の人の需要を当てにすることができることで経済効果が大きいので、やはり再開発のキーテナントとしてはホテルを置くといった方がプロジェクトとしても収益性が上がる」

 仙台市でホテル開発が相次いでいますが、田口さんは宿泊業界の最大の課題は、人手不足と指摘しています。

 今後、中心部にホテルが増えてくると需要を獲得する競争より、人手を獲得する競争が重要と話していました。