仙台市太白区の住宅街に出没したクマを、15日朝に仙台市が全国で初めて緊急銃猟により駆除しました。

 小室翔太アナウンサー「クマが目撃されたのは住宅街の中、少し坂を登ったところにあります。木々が生い茂っている所、カラーコーンが置いてある辺りだということです」

 14日午後4時ごろ、太白区鈎取の雑木林で「クマが顔を出している」と住民から警察に通報がありました。

 現場は、国道286号線近くの周りに山がない住宅密集地で、雑木林の中にクマは潜んでいました。

 仙台市は、住民に危険が及ぶ可能性があるとして、9月改正された鳥獣保護法に基づき市街地での緊急の猟銃使用を許可しました。

 小室翔太アナウンサー「クマが身を寄せることもできそうな場所がいくつかある場所で、猟銃が使用されたということです」

 夜明け後に川沿いの法面にいるクマを確認して15日午前6時前、安全を確保したうえで猟銃でクマを駆除しました。

 駆除されたクマは体長1.4メートルのオスの成獣で、雑木林のそばを流れる川を伝って迷い込んだとみられています。

 緊急銃猟によるクマの駆除は、全国で初めてです。

 近隣住民「仙台市の職員が来て、明け方駆除するので外出しないでくださいって。夜遅く息子がクマの鳴き声がずっと夜中してるって。(クマの出没は)初めて聞きましたね。川伝いだからあるんでしょうけど」「バーンっていう本当に1発。私は初めて聞いてすごくドキドキしたんですけど」「やっぱり怖いね。新聞とかテレビなんかで年配の人たちがやられたという話を聞くと、まさかそこにいるなんて思わなかった」

 今回、仙台市が行ったのは9月に始まった新たな制度、緊急銃猟に基づく判断です。

 緊急猟銃制度が始まる前は、市街地ではクマが襲いかかってきたなどの緊急時のみ、警察官の命令などで猟銃が使用されていましたが、この制度によりこう着状態の場合でも市町村長の判断で発砲が可能になりました。

 発砲には、4つの条件があります。
1.クマが人の生活圏に侵入している
2.人への危害を防ぐため緊急対応が必要
3.発砲以外の方法では捕獲が困難
4.住民に発砲による危険が及ばない
 4つの条件を全て満たした場合に、発砲が可能になります。

 今回、1.と2.については「周囲が住宅街で危険回避が急務」と判断しました。3.については「追い払い」では住宅街に逃げ込む恐れがあり、わなも設置が難しいとされました。4.についても半径約100メートルで住民の立ち入りを制限し、流れ弾などによる危険が無いことが確認されたため、発砲が判断されたということです。