車にまたがり、サイドミラーを壊すサルです。大声を上げ、人間に向かってくる様子も。専門家は人を襲う凶暴化したサルが増えているといいます。

■観光客かまれ なぜ今凶暴化?

 カメラの目の前に現れたのは野生のサル。数えるだけで5匹。

ディレクター 「建物内に入った方がいい。危ないので入りましょう」

公園スタッフ 「音を鳴らすだけで全然違う。今まで襲われた客が目撃しているのは基本的に単体で行動しているサル」

 サルに人が襲われる被害が相次いでいるのが、日本海を一望できる福井県の「レインボーライン山頂公園」です。

 そこへ向かう道中でも、堂々と車道の真ん中を歩くサル。すると、突然カラスとにらみ合い。山の中へ帰っていきました。

 その山頂にある公園では今月、サルが観光客に牙をむきました。

レインボーライン 竹内利寿社長 「20年も30年も、そんなことは一度もなかった。ちょっかいを出された客が15人程度。引っかかれたり、かみ付かれたりしてけがをした人が5人と把握」

 その瞬間を捉えた映像。画面の奥の白い服の男性に突然、背後からサルが襲い掛かります。けがをしたのでしょうか、男性は腕を抑えています。

 先週、襲われたという女性も恐怖を語ります。

被害に遭った女性(30代) 「携帯のカメラを構えていたら、いきなり左腕に衝撃があって、サルが左腕にかみ付いていて、すごくびっくりして。(サルは)目を見開いていて、ずっとかみ付かれている状態だった。最初1日、2日は腕を上げるのも痛いくらい」

 命に別状はなかったものの、観光客に不安が広がっています。

観光客 「逃げるだけでは追い掛けてくる。どう対処すればいいか知りたい」

 施設では見回りや「サル注意」の看板を設置するなど対応に追われています。

レインボーライン 竹内利寿社長 「柵まで来られないように周りの木を切ったりしている」

■サル被害多発 車のミラー破壊

 被害は福井から600キロ離れた北九州市でも…。

 寺の境内に止めた車の上にサルが。そして、サイドミラーをゆさゆさ。すると…。

教法寺 益田崇尚住職 「開いた衝撃でミラーが取れるのか、その時にポロッと取れていた。割れたサイドミラーが落ちているのを発見した。翌日、また違う車のサイドミラーを取られた」

 市によると、7月以降、サルによる車の被害が23件。狙われた多くがサイドミラーでした。

北九州市 鳥獣被害対策課 「鏡に映った自分の姿に興味を示したのは間違いない」

 市はサルの捕獲機を複数設置して対策しています。

 なぜ、被害が増えているのでしょうか。専門家はこの時期、1年で最も攻撃的になるといいます。

石川県立大学 大井徹特任教授 「サルの食べ物は植物食中心の雑食性だが、人間の食べ物はサルにとってごちそうです。おいしい食べ物を求め、人間の生活場所に迫っている。9月から11月はサルの交尾期なんです。オスザルもメスザルも気が立っていて攻撃的」

 気性の粗さを実感したのが今月、神奈川県の山中でサルと鉢合わせした男性です。

40代男性 「一本道で逃げられなかったので、クマ鈴を鳴らして足踏みをして、逃げてもらうようにした」

 しかし、威嚇しながら木を飛び移るサル。そして、木をよじ登り威嚇。

40代男性 「自分は真正面を向いて逃げていた。動画に映っているのは2匹だが、4匹ほどいた」

■住宅地に出没 遭遇したら?

 住宅地での被害も絶えません。

 宮崎では電線を器用に移動。周辺では家庭菜園の作物が食い荒らされる被害もあったそうです。

 千葉県の住宅街近くにも…。

撮影した男性 「びっくりして、何か攻撃的な意思があると感じた。すぐその場を離れた」

 もしサルに遭遇した時、身を守るにはどうしたらいいのでしょうか。

石川県立大学 大井徹特任教授 「サルは群れを作る動物で社会性がある。至近距離で出会って目が合ったり、走って逃げると攻撃をされることがある。目を合わせることはサルにとって、親子以外だと攻撃、威嚇のサイン。目を合わさないでサルからゆっくりと離れて下さい」